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2006年11月22日

おどろおどろしい眼疾

目の虫はなかなか消えてはくれなかった。生活に特に支障があるというのではないが、非常に気になる。不快そのものだ。手術は嫌いだが、簡単な手術で済むのだったら、それをしたっていいと思うくらいだ。しかし、その手はないというのだから仕方ない。私にとっては、体の老化現象を痛感した初めての出来事であった。そのことも気を落ち込ませた。ところで、後になって知ったのだが、おどろおどろしい「ヒブンショウ」というのは、「飛蚊症」と書くのだそうだ。眼科の専門用語として使われている。本当に蚊が飛んでいるのである。

さて、私の飛蚊症をそのうち慣れますよと突き放した女医先生に対する反発からであろうか、私は素直に主治医のところに行く気にはならなかった。それに行けばどうせ薬を呑みなさいといわれ、これからずーっと薬を呑まなければならないことになることはほぼ明らかだった。飛蚊症と血圧が関係していると女医先生はいわなかった。だから、血圧を下げたところで虫が消える訳ではないのだろうが、家系からいっても血圧が高いのを放っておいていい訳はない。

そこで、「主治医に血圧関係の診断を受ける前に、血圧を下げておこう、そうすれば薬を呑めといわれないだろう」 ─ こう考えたのである。なぜそんなに薬を呑むのが嫌かというと、苦いとか副作用が怖いとかいうのではない。薬を呑まなければ、正常とはいわれないということが嫌なのである。鎮痛剤や抗生物質のように、一時的にある症状を治めるために呑む薬にはこうした思いは持たない。しかし、一生薬を呑まなければならないとなれば話は別だ。薬を呑まなければ正常ではないということは、大げさにいえば半病人ということではないか。まだ半病人にはなりたくはなかった。

  • 『専門医が応えるQ&A―高血圧』
  • 『自分で治す・自分で防ぐ高血圧』
  • 『高血圧をらくらく下げるコツがわかる本』

私が書店に行って買ってきた3冊の本の題名である。私のその時の気持ちが分かっていただけると思う。同じようなことが書いてあったので、司法試験の時のように3冊を丹念に読んだわけではないが、高血圧というのがよく分かった。なぜ高血圧になるのかということは、専門家も本当のことは分かっていないのだそうだ。しかし、控えていたほうがいいこと、治療法などは3冊ともだいたい同じことが書いてあった。

  1. 塩分を控える。一日6g未満。
  2. 体重を適切に保つ。
  3. 低強度の運動をする。
  4. たばこを断つ。
  5. 規則正しい生活をおくる。

要すればこういうことが書いてあった。私の生活は、長いことこれと正反対のことばかりしていた。これじゃ、家系でなくとも高血圧気味になるのは仕方ないというものだ。しかし、これだけ悪いことをやってきたのであるから、これをやめれば意外に簡単に血圧も下がるのではないかとも考えられる。それではそれをやったみようという気になった。

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