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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2011年2月1日 火曜日 (第4回)
テーマ 「遺産相続について」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | ラジオの前の「あなたの生活」を応援する「ごごばん!法律クリニック」。今日も、現役の弁護士の方に、ご近所・親戚とのトラブルや仕事先でのもめ事など、みなさんに身近なトラブルの「法律上の問題」についてお話を伺っていきましょう。 スタジオには、白川勝彦法律事務所、白川勝彦弁護士です。毎週ありがとうございます。 |
白川 | はい、こんにちは。 |
上柳 堀 増山 | 宜しくお願いします。 |
上柳 | さっそく今日の相談内容ですが、今日は匿名希望のAさん、33歳の男性の方からのご相談メールです。 |
話者名 | 話の内容 |
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増山 | 今、入院している義理の父に、多額の借金があることがわかりました。病院からは「そう長くない」と聞いているので、その借金についてどのようにすればいいのか、父、本人に相談することもできず困っています。 |
上柳 | 先生、遺産相続…借金の方の相続っていうのはあるんですか? |
白川 | ありますよ。むしろそれが大原則と考えてください。 よく昔ね、借金も財産のうちというような言葉がありましたよね。知ってるでしょ? 借金も財産のうち。 例えば、いま金利0%みたいなものですけども、金利が8%とか銀行金利が10%とかあったでしょ? もし、その時に年金利1%でいいとかっていうのを、もし借りたとしたら、それはもう財産じゃないですか。借金は借金だけども。 年1%の金利しかつかないと、それをもし借りて商売したとしたら。それは財産だから。だから、そういうことを含めて、『借金も財産のうち』という、昔からの言葉があるんですね。 同じように、要するに、相続は財産も引き継ぐと同時に、借金も引き継ぐ ─ それが大原則です。どなたも。 |
上柳 | 相続する財産よりも借金の額が多い…これは返済できないぞってなってしまったら、どうなるんですか? |
白川 | 怖いですね…。だけど、それを免れる方法はあります。原則は、財産を相続すると同時に借金も相続するのが大原則ですが、今言ったような場合に、困った場合がありますから、2つ方法があります。 相続を放棄する、と。それからもうひとつ、あまり知らないかもわかりませんが、限定承認というふうに私たちは呼んでおりますが。 |
上柳 | 限定承認…相続放棄って、なんかイメージわかりますが。 |
白川 | 限定承認ってのは限定だから、亡くなった方の財産の範囲内において私は相続を承認しますよと、そういう意味で限定承認なんですね。相続を限定的に承認するという意味じゃないでしょうか。 |
上柳 | 全部は相続しませんと。 |
白川 | ただ、相続はするんだけども、財産の範囲内で相続しますと。ただし、それはですね、法律的な手続きをとらないと大原則に戻るわけです。どういう手続きかというと、家庭裁判所にまず、例えばお父さんの死を知ったと、そうすると普通はあれですよね、相続があることってわかりますよね。それを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に行って申述といいます。申し述べるに後述の述、申述をして、こういう風に私はしますということを家庭裁判所の機関がちゃんと受け付けますから、それをして初めて、債務を免れたり限定的に承認するというのが初めて可能になりますから。 |
上柳 | ちょっと、法律に詳しくない人が突然できる感じのことじゃないですね、これ。 |
白川 | だけど、家庭裁判所に行けば、よく教えてくれますから。ただしですね、相続をした日からというのは、あくまでも、例えばお父さまが亡くなったというふうに頭に入れていきましょうか。それは、そのお父さまが亡くなったとすれば、普通相続がおきますよね。その日から3ヶ月以内ですから。お父さんに1000万くらい借金があると思ったら、実は5000万借金があったと。それがわかってからでは遅いですよね。 |
上柳 | そういうことですね!! |
白川 | そういうことですね。そこがあくまでも相続を知った日ですから。だから、借金が多いと知ってから慌てて家庭裁判所に行っても、3ヶ月過ぎてるとダメですから、そこは勘違いしないほうがいいですね。 ただですね、上柳さん。このメールでちょっと心配なのは…義理のお父さんの借金って書いてありますよね。 |
上柳 | 義理のお父様なんですよね?? |
白川 | ということは、奥様のお父様がいま病気で亡くなりそうだってことですよね。 |
上柳 | そういうことになりますよね。 |
白川 | それで父の借金がって…これ、義父のことじゃないでしょうか。義理のお父さんの件ですね。 |
上柳 | そうなりますね。 |
白川 | この場合は、Aさんにとってはまったく相続は関係ないですから。 |
上柳 | 実の子じゃないから…。 |
白川 | そりゃそうですよ。奥様が死ねばAさんが奥様の相続人にはなりますけど、これは関係ないです。 あくまでも義理のお父様と、もしお母様が生きておられたら、お母様が相続人ですよね。それから、曾お爺さん、お婆さんはいないとみて、子供さんと奥様、これが相続人ですから。この内部の話ですから。 |
上柳 | なるほど、Aさんは基本的には法律的には関係ないと。ただ、自分のかみさんだから、そういう立場の方がいろいろ言うんですよね。「ぼんやりしてるとえらいことになるぞ!」とか、第3者的に言えますわね。 |
白川 | そうかもわかりませんね。 ただ、いまこういう財産関係はですね、例えば、奥様に結果としては今言ったような相続放棄とか、限定承認していなかったとしたら、さっき言った通り、5000万の借金があったと、財産は1000万しかなかったと、すると4000万の借金が奥さん、もし子供さん一人だったとしたらかなり残りますよね。だとしても、ご主人さんには関係ないことですから。 |
上柳 | まぁ一応はね。 |
白川 | ええ、あくまでも今は借金だとか債権は個人単位と。だから、奥様だからあまり関係があるとかっていうふうにはしません。あくまでも個人単位ですから。 |
堀 | 借金に対して親子で責任があるってことは、結婚の時に相手のご両親が、遡って借金がないかどうかを確認しないと。 |
上柳 | 最初からその話しはしにくいよね! |
堀 | しにくいよー!!(笑) |
白川 | そういうこともないんじゃないですか。さっき言った通り、もし多かったら放棄すればいいんですよ。 |
上柳 | 放棄すればいいと。 |
白川 | あるいは限定承認っていうかたちでね、その財産の範囲内でだけ相続すると。 |
上柳 | その財産の範囲内で相続するというのが、今一つちょっとわかんないんですけども… |
白川 | 例えば、亡くなった方が持っておられた預金だとか、あるいは不動産がある場合がありますよね。それがその人の財産ですから、それをもし売ったりして3000万があったとすると、5000万の借金だけども、その3000万は、土地を売ったらちゃんと払いますからということですよね。 |
上柳 | なるほど〜。 |
白川 | そういうことで、借金のある人とは結婚できないなんてことはないですから。あくまでも愛情ひとつでね! |
上柳 | しかし、この義理のお父さまも、やっぱりちょっとあまり意識が無いという、悲しい状態となりますとね、お父さまが、こうしたかったああしたかったが分かんないじゃないですか。これを防ぐために、やっぱりお元気な時に、ある程度は色々と決めておいた方がいいんですかね。 |
白川 | まず聞いておくことじゃないでしょうか。 |
上柳 | 遺言というと、こうなんか縁起が悪いとか色々あるかもしんないけど、やっぱりなんか残しておいた方がいいんですね、これ。 |
白川 | それはそうですね、ただ、それよりも財産状況を聞いておいた方がいいですね。冒頭に申し上げた通り、家族は1000万くらい預金があるかなと思っていたら、後でふたを開けてみて、半年後ぐらいに5000万の借金があるのが分かった、と。その時に慌てて放棄だとか限定承認っていっても遅いですから。 |
上柳 | 遅いということですね。 |
白川 | ですので、一応、よく聞いておくことが大事なんじゃないでしょうか。 |
上柳 | はい、よくわかりました。ありがとうございました。みなさまも法律上の問題がございましたら、白川勝彦弁護士に色々と聞いてみてください。こちらへどうぞ。 |
増山 | |
上柳 | |
白川 | 弁護士、今日もありがとうございました。 |
白川 | どうもありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー / 堀ちえみ氏 = タレント曜日パートナー (文中敬称略) | 第3回 | TOP[t]< | 第5回