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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2011年6月21日 火曜日 (第20回)
テーマ
「健康と借金の法的援助について」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | ラジオの前のみなさんの法律の問題について、お話を伺っていきます。「ごごばん!法律クリニック」。スタジオには、白川勝彦法律事務所・白川勝彦弁護士です。今週も宜しくお願い致します。 |
白川 | 宜しくどうぞお願い致します。 |
堀・ 増山 | 宜しくお願い致します。 |
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | では早速、今日の相談内容ご紹介いたします。匿名の女性の方からの、こんなメールでございます。 |
増山 | 我が家は、家族で自営業を営んでおり、日本政策金融公庫から500万円、消費者金融などから350万円ほどの借金を抱えています。正直、借金を返済しながら家族4人が暮らしているのがギリギリの状態だったのですが、主人が入院してしまい、とても借金を返し続けていける状態ではなくなってきています。健康が原因で借金がかさんでいく状態というのは、法的になんらかの援助を受けることはできないのでしょうか? |
上柳 | 色々と、これまた大変な状況ですね。さっそく色々とアドバイス頂きたいんですけれども、どうしましょうかね? |
白川 | この質問の法律的に一番大事な部分は、法的に何らかの援助があるんでしょうか? ということですね。あるともないとも言えますので。ちょっと問題を分けてみたいと思うのですが。 たぶん、商売をやっている方は、このくらいはごく普通にあるケースじゃないでしょうか。たしか、ラジオというのは仕事をしながら聞いてる人が多いですよね。ただ、ちょっと違うところは、350万円の消費者金融があると。私は銀行にはあるけれども、消費者金融にはそんなにはないよという人もいるんじゃないでしょうかね。 消費者金融というのは、法定金利だとしても100万以下ならば18%、100万以上なら15%の金利が取られるわけですね。それは法定金利だとしても、18%の金利がつくお金、あるいは15%の金利がつくのでも、どの商売でも儲からないんじゃないでしょうか。 |
上柳 | そうですよね。ちょっとこれは…ねぇ。 |
白川 | ご主人が中心になって、そこで健康を害したために、収入が、かなり減るんじゃないでしょうか。 そこでなんとかならんかというご相談で、深刻な問題だと思うのですが、ちょっと、どうしても問題を分けてみる必要があると思うんです。というのは、そういう状態だから、もう商売はむしろ辞めて、ご主人が病気を治さないことにはダメですけども、ある面では、みんなサラリーマンになって、生活をしようというのだったら、店を閉める、商売をやめるってことですから。 個人で返すとなったら、850万の借金はキツイですよね。その場合だったら、破産 ─ 借金は返さなくていいよというのが、ある面では債権者がNOだと言ったって、裁判所が決めるんですから、そういう面では、法律的な援助じゃないでしょうか。 ただ、破産は「ちょっと待って!」という人は多いと思うんですね。その場合は、民事再生という形で借金そのものを圧縮するという方法もあります。それも裁判所の手続きを使うんですから、ある程度債権者の同意がなくても出来るんですけども、そういう意味では法的手続きですよね。 ただ、やっぱり現実には、よほど周りの人の協力…原材料を納入して、協力してくれるって人がいないと、民事再生をしても、そう簡単に新しい商売をすることは難しいかなと思います。 民事再生というのは、もともと破産ではなくて、商売を続けていきたいという手続きだから、もちろん続けていくことは可能なんですが、それにしてもかなり、世間的には制約受けると思います。 そこで、出来れば金利を下げてもらいたい ─ 特に、病気の期間中は返済を猶予してもらいたい … こういう事が、なんか出来ないんでしょうかということを、一番聞きたいんじゃないでしょうかね? 法的に出来ないかということなのですが……法的には、基本的に出来ません。 |
上柳 | 救済措置はないんでしょうか。 |
白川 | 法的にというのはどういう事かというと ─ 法的に出来るとか出来ないとか、法的に勝つか勝たないかとか、色々言うじゃないですか。それは、相手方の同意とかがなくても出来ることを、我々は法的に出来ると言うんです。 |
上柳 | 「貴方がいくら言っても、ここに書いてあるのだから!」 ─ これが、「法的に出来る」。 |
白川 | 向こうは同意しなくても、その場合は裁判所の力を借りてやるっていうのが、普通法的に出来るとか、出来ないとか。法的に出来るからと言って、自分が直接やるわけにはいきませんから。 ここで、原理原則をおさらいしておきたいと思うのですが。 お金を、金利いくらで何年で返すというのは、金銭消費貸借といって、契約ですよね。あくまでも個人間の、合意をするとその合意に従って、返したり返さなくちゃならないということが決まるわけです。 ただし、人間が契約によって決めたことだから、事情が変わったから変えてくれよということは、当然出来るわけですよね。 |
上柳 | おっ、なんかちょっと出てきましたね。 |
白川 | 当然出来るわけですよ。ところが、それは法的にじゃなくて、こういう事情だから、それで新たに合意が生まれれば、今度はそれによって返せばいいということ。あるいは、相手方はそれによってしか請求できないということになります。 |
上柳 | 話し合いってことですか。 |
白川 | ということですね。ただ、そこで日本政策金融公庫 ─ いわゆる国民公庫と呼ばれるやつですが、もともと中小企業を援助しようというために生まれたところですから、ここなんかは事情が事情なら、かなり柔軟に対応してくれます。 それから、一般の消費者金融と言うと、皆様は怖い鬼みたいだと思うかも分かりませんが、これは別に、その人たちが良いとかってことじゃないんですけども、お金を貸した方は返してもらわなくちゃ困るんです。 だから、事情が事情で返す気がないわけじゃないのだけれども、こういう事情だから約束通りは返せないよという場合には、普通の消費者金融なら、実は、結構よく理解して相談に乗ってくれるんですよ。 |
上柳 | 返済を待ってくれたりとか? |
白川 | 金利を下げて欲しいとか。というのは、現実には払えなかったら… |
上柳 | 破産、民事再生とかで、返ってこなくなっちゃうよりは、もうちょっと待って元気になって頂いて… |
白川 | あくまでも本人がね、返せるように協力する。意外にみなさん、血の涙もないような人だと思うのでしょうが、そんな事はありません。なぜならば、もしそんな無理なことを言ったら、現実には返せないわけですからね。 |
上柳 | リスクが向こうにも大きいですからね。 |
白川 | ですから、今のご相談者のケースの場合、私がもし弁護士として受けたら、私はこうします。 まず、日本政策金融公庫 ─ 昔の国民公庫ですね。国民生活公庫にまず行って、事情を話して、長期の分割にしてもらいなさいよと。もともと長期分割なんですよ。 さらに、この間はちょっと返済を猶予してもらえないかと言えばね、それなりに応じてくれる可能性十分あります。 それから、消費者金融について、僕は任意整理として、合計して長い付き合いがあれば当然減らせます。仮に減らせなくても、今、残っている残債に対しての金利はつけないで、ということは出来ますから。そういう事をお勧めしますね。 |
上柳 | やっぱり、これもまた、専門家の方にちゃんとご相談するのが良いですね。はい、お時間でございます。白川弁護士でした。どうもありがとうございました。 |
白川 | どうも、失礼いたしました。宜しくどうぞ。 |
堀・増山 | ありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー / 堀ちえみ氏 = タレント曜日パートナー (文中敬称略) | 第19回 | TOP[t] | 第21回