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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2011年11月22日 火曜日 (第41回)
テーマ
「裁判所から訴状が届いたら、どうしたらいいのでしょうか?」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | 毎週火曜日は、ごごばん! リスナーの、あなたの「法律の問題」についてお話を伺う、「ごごばん!法律クリニック」。スタジオには、白川勝彦法律事務所所長、弁護士歴39年の白川勝彦弁護士です。今週も、宜しくお願いします。 |
白川 | こちらこそ宜しくお願い致します。 |
増山 ・堀 | 宜しくお願い致します。 |
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | では早速、今日のご相談内容です。今日は、匿名の男性。42歳の方からの、このメールです。 |
増山 | 何ヶ月も借金の返済が滞っていると、裁判所から訴状が届くと聞きました。そして、訴状が届くと、差し押さえなどがすすめられるとも聞きました。今、少しの間、返済の滞っているところがあり、いつ訴状が届くのかと、戦々恐々としています。もし訴状が届いた場合、どうしようもないのでしょうか?「もう少し待って欲しい。こういう返し方をするから…」という反論は、聞いてもらえないのでしょうか? |
上柳 | 何度か、訴状という言葉も出てまいりました。やっぱり、訴状と聞くとドキッと致しますが …… どう対応したらいいのでしょうか。白川弁護士、宜しくお願い致します。 |
白川 | この方、ずいぶん真面目で、純粋な方ですね。結論から申し上げて、支払いが少々遅れたぐらいで直ちに訴状がくる事は、まずありません … 私が見てる限り。と、いうのも、皆様勘違いしてますが、貸金業者といえども、お仕事なんですよね。 一つは、彼らは、金利を払ってもらうというのが第一の仕事ですから。月々の支払いというのは、金利がまず入ってこないというのは、彼らにとっての一番大事な仕事が … 約束が果たしてもらえてないから。 二つ目は、元金の返済というのも、結局自分のお金を出したんですから、それも回収したいということですよね。ただ、それも、円満にやりたいわけですよ。 ですから、人間、訴訟を起こせば、中にはむくれちゃって「そんなの返すか!」と ─ 強制的にやられれば別ですが、返さんぞという人もいますから。皆商売人ですから、できれば月々のものを、まず払ってもらいたいというのが本音です。 |
上柳 | 事は荒げたくはない、と。 |
白川 | ですから、いきなり訴状なんて、見てる限りはありませんね…。普通は、電話で催促します。 いま、大体の申し込み時に携帯電話も知らせてありますから、携帯電話の方にかけるようにしますね。と、いうのは、普通の自宅にかけると、別の人が出てくるかもわからないから、出来るだけそういうことはしないようにという、行政当局の指導もありますから、携帯があれば、携帯に電話するようにしてます。 その携帯に出たりした時に、どういう理由で返せないのか、少なくしてもらえないとか、話をするのが一番なんじゃないでしょうかね … まずは、ね。 しかし、それに出なかったりすると、彼らもしょうがないもんですから、手紙ですね … 電話に出ても全然、実行しないと。 この手紙も、色々と見てますが、これは、井原西鶴の当世胸算用と同じで、見ていて笑っちゃうような、噴き出すようなものもあります。 中には差出人、知らないなって人もあるんです。それは、金融業者からの通知だって家族にばれては 困るので、個人名で出したりするのもありますね。それは、逆に指導なんですね。貸金業者から借りたりしていることは、あんまり家族に知られたりして欲しくないというのがありますから、むしろ配慮と見たらいいんじゃないですかね。 だから、大事なのは、そのような訴状が裁判起こす前に大体届きます。 その中に、色々おどろおどろしい言葉が書いてあるのもありますけども、要するに、この手紙は裁判所からの手紙なのか、それとも貸金業者なのかというのをよく見て …… 貸金業者の手紙は、放ったらかしたからって直ちに強制力が生まれるわけじゃないんですけど…。裁判所からの通知は、放っておくと、良いこと何もないですね。今日は、その事になるんじゃないかという話ですね。 裁判所からの手紙というのはもちろん、 普通の手紙なら下に○○簡易裁判所と書いてあります、必ず。あるいは、裁判所と書いてあります。本人がいなくても、必ず特別送達といいまして、本人、もしくは同居の方が受け取らないかぎり、渡せないもんですから、ポストに入れておくわけにはいかないんです。必ず「届いております」というのが残りますから。届いているから取りに来て下さいという手紙も、必ず入っているはずですから。 ですので、怖いから行かないという人が……それも、よくないです。やっぱり、なんでもいいから、裁判所からの訴状は放置しておくのが一番まずいです。まず、そのことを押さえておきましょう。 さっきの業者からの手紙について言うと、月々いくらというはずの手紙をもらう段階になりますと、一括していくらいくら払いなさいということになるから、それでビックリしちゃうんですね。 |
上柳 | 一括で、まとめて返しなさいってなっちゃうんだ。 |
白川 | なっちゃいますね。と、いうのは、遅れているということは、一回もしくは二回遅れると、期限の利益を喪失することになるから。あくまでも払っていれば、期限の利益となるわけですね … 分割して払えば。 それを、結局二回くらい遅れちゃうと、期限の利益を喪失しちゃいますから、結果として、貸している方は一括して払いなさいというのは、それ自体は当然のことなんですね、契約上。 それから、よく法的手段に訴えるというようなことが色々書いてあります。だけど、僕はいつも言うんです。『法的手段に訴えるということは、いいんじゃないですか?』と。闇金業者なんて、法的手段に訴えられないから、会社に電話したり、家族に電話したり。 法的手段に訴えるということは、裁判上、法律的に許されることしかしませんよという事です。ですから、例えば、訴状が届いたとしても、今まで業者からの手紙に比べて、裁判所からの手紙には『少ない額で払いなさい』という訴状が届くんです。と、いうのは、違法金利等は裁判所は事前にチェックして、利息計算を直した上で、法律的に取れるのはそこまでですから。 |
上柳 | なるほど! 計算してくれるんですね。 |
白川 | だから、法的手段に訴えるというのは、ある面では、ちゃんと裁判所が関与するということだから… |
上柳 | これ以上は払わなくていいよ、法律にのっとって払いなさいと。 |
白川 | 法的手段に訴えるというのは、決して、ビクつく必要はない言葉なんだということですね。 ただし、法的手段に訴えられた場合は、今度は本人がダメだったとしたならば、強制力があるわけですね。 その場合、訴状とありますが、ほとんど貸金業に絡んでいうと、いきなり訴状がくるケースというのはないと思います。支払の督促というのが来るんです。これも、○○簡易裁判所と書いてあります。だから、裁判所からの通知はいい加減にしない方がいいですね。 支払督促というのは、二週間以内に異議を申し立てれば、普通の訴訟に変わります。放ったらかしておくと、もう払いなさいということで判決が取られたと同じになっちゃいますから、だから、裁判所からの手紙は放っておくのが一番良くないですね。放っておくと、強制力がどんどん厳しくなってきます。 それでですね … 日本は優しいといえば優しいんですが、実際上、裁判の運用なんでしょうかね。訴状、支払督促もそうですし、異議を申し立てれば、普通の裁判が始まりますね。いっぱいやっているケースですが、だいたい、裁判官が金利を付けないで長期分割というくらいで、和解をすすめますね。ですから、訴状が届いたら、弁護士に相談するのも一つ。場合によったら、弁護士に相談しなくても、裁判所に行って書記官とかがよく教えてくれますから。ですから、実際に法的手続きが始まっても、色々手はありますから。 ただし、それを放っておくと、給料差し押さえがきます。給料差し押さえは、会社にいくわけですから。そうすると、みんなにばれたりしますね。そんなことでしょうかね。 |
上柳 | 裁判所からのさまざまな書類は、絶対、無視していいことは一つもないということですね。 |
白川 | 法的手段というのは、怖くはないですから。 |
上柳 | 白川勝彦弁護士でした。どうもありがとうございます。 |
白川 | どうも失礼しました。 |
増山 ・堀 | ありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー / 堀ちえみ氏 = タレント曜日パートナー (文中敬称略) | 第40回 | TOP[t] | 第42回