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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2012年8月14日 火曜日 (第77回)
テーマ
「2回目の任意整理は、可能ですか?」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | 毎週火曜日この時間は、「ごごばん! 法律クリニック」。ラジオの前の、あなたの法律の問題について、お話を伺います。スタジオには、白川勝彦法律事務所所長、お馴染み、弁護士歴40年の白川勝彦弁護士です。今週も、宜しくお願いします。 |
白川 | 宜しくお願いします。 |
増山 | 宜しくお願いします。 |
上柳 | では早速、今日も、ご相談内容です。匿名希望、56歳の男性の方からの、このメールです。 |
話者名 | 話の内容 |
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増山 | 私は以前、いわゆる首が回らない状況になり、弁護士の方を通じて、任意整理の手続きをとりました。しかし、その後再び借金を重ねてしまい、また大きな借金を抱えてしまいました。2回目の任意整理というは、可能なのでしょうか。 |
上柳 | 一回、任意整理をした。でも、また借金をしてしまった。もう一度、任意整理をしたい。2回任意整理ができるのか。これは、ちょっと初めてのケースだと思うんですが、どうなんですか。 |
白川 | 決して、珍しいケースではありません。私たちは、しょっちゅうやっております。 |
上柳 | そういうものですか。 |
白川 | 大きく言うと、二つのケースがあると思います。 例えば、350万円の借金を、弁護士さんを立てて、4〜5年で利息付けないようにしてもらって、完済した、と。それから3〜4年経って、また借りてしまって、いま250万円ある、と。こういうケースなら、殆ど問題ありません。こういう場合は、二度目の任意整理もできます。 |
上柳 | 間が何年か、あいていると… |
白川 | 前のは完済しているし、それからまた借りたというのは、よくあるケースです。 むしろ、難しいのは …… 仮に、350万あった借金を、弁護士さんに頼んで利息なしで、5年間の長期分割にしてもらった、と。そこから2年間経った、と。そうすると、残高が230万くらいありますかね。そこでまた借りちゃって、いま250万ある、と。合わせると480万円くらいになる、と、こういうケースが、ちょっと難しいケースなんです。 |
上柳 | 無いわけじゃないんですね。あるんですね、こういうケースが。 |
白川 | なぜ難しいかというと、何度か話していますが、債務整理をするということで弁護士に頼むと、いわゆる、業者からみたら事故にかかったということで、信用情報センターに、そのことを登録するんですよね。最初の350万円をまだ返済中だから、信用情報センターに登録されてから、まだ5年間経っていません。その方は弁護士に頼んで任意整理をしていますよ、ということが載っているわけです。それに、また借りたわけですね。普通、健全な貸金業者なら、貸さないんです … そういう人の場合は。 |
上柳 | この人は、まだ借金を返してない、と ─ 信用情報センターに、そういう情報が残っているから… |
白川 | だから、貸さないケースが多いんですよ。 ところが、信用情報センターに載っていたところで、業者間の情報でしかありませんから。貸してはならないという、法律でもなんでもない。 |
上柳 | 皆、その情報を見て、今回はやめておきましょうという、判断のもとですね。 |
白川 | だから、そういう状態でも貸してくれる業者ですから、相当クセがあるわけですよ。普通の業者は、まず貸してくれませんし、貸したとしても、任意整理の段階で弁護士が入れば、普通に応じてくれるんですが … こういう業者は、クセがある。それでも貸そうという業者ですから、一筋縄ではいかない業者が多いわけです。 |
上柳 | 借りる方としては、藁をもすがる思いで …… こんな状態だけど、貸してくれるなら、それじゃあ! みたいな。 |
白川 | あくまで、任意整理というのは、我々と業者との交渉事ですから。 私どもは、一括して返して下さいと。『将来金利を付けないというのは、応じません』とか、応じることは応じるんだけども、『5年間という長期は、ダメですよ』、と。2年とか3年なら応じても、長期分割はダメですという業者が多いものですから、普通と同じようにはいかないと思います。 ただし、我々はプロですから。さっき言った任意整理というのは、あくまでも、相手の業者と私たちの交渉で合意できた場合の話ですよね。ところが、法律上、個人再生というのは、相手の了承は必ずしも要らないわけですから。 この方の場合、前の借金が、5年間の長期分割。前の先生からとってもらって、現在230万残っている、と。これは、もともと利息がないとしていますから。これを再度、我々がしたところで、利息を付けないんだから、さらにまけるというのは、ないじゃないですか。分割も、5年間待ったんだから、さらに伸ばしてくれってわけにもいきませんよね。 今の業者は、250万円借金を作っちゃったと。合わせて480万円ですよね。『全部を返すのが難しいから』と言って、個人再生を、裁判所を通じて申し立てるんです。普通の条件としたら、480万円ですよね。それを、100万にしてもらう、と。かつて、任意整理している ─ 今払っている借金だって、それも、個人再生の対象にできます。いまなお払っている金利も、一緒に再生の対象になります。それを全部含めて、個人再生で100万にしてよという申し立てをしますから… |
上柳 | 通るんですか? |
白川 | 通りますよ、もちろん。 これは、裁判所の力を借りますから、その場合は、さっきいった通り、少々性格が荒い業者だって、裁判所の決定には従わなくてはいけませんから。 だから、任意整理となると難しいかもしれないけど、要は、払うのが大変だということでしょ? それを、裁判所を通した手続きでやれば、今の任意整理と同じ額くらいで、新たな借金も一緒に整理できます。 そういう風に ─ あんまり細かいことを一般の方が覚えている必要はありませんが ─ 借金の問題というのは、プロにかかれば、色んな手で解決する道があるということなんです。 |
上柳 | 裁判所も、借りるのもいいけど、いいかげんにしなさいよ、みたいなことは言うんですか? |
白川 | 言わないですね。貸す方だって、仕事なんですから。その代わり、利息は取る、ということでやっているんだから。その代わり利息を取るということで、営業をやっている以上、色んなケースに当たるというのは、商売の世界だからしょうがないですから。 |
上柳 | やっぱりこれは、一人で思い悩んでいないで、弁護士さんに相談して ── そして、裁判所というのがここに入ってくると、大きく、ガラッと変わることがあるから、相談されるのが一番のようですね。 色んなケースがありますね。白川弁護士でした。どうもありがとうございました。また、宜しくお願いします。 |
白川 | どうも失礼しました。 |
増山 | ありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー (文中敬称略) | 第76回 | TOP[t] | 第78回