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HOME > 白川文庫 [l] > カツヒコ・アラカルトTOP[f] > 白川勝彦の世の中つれづれ談義 > 2010年11月6日 (第19回)

ラジオつれづれ草 リスナーから

安売り弁護士さんのお話をしていましたが、借金をしている人は広告を見てだれにたのめばいいのかさっぱりわからないのでは。無料相談とありますが、忙しい時間、無料だとは思えないので、なにかうらがあるのではと。白川さんのラジオを聞いてなるほど後で取られこともあるのか、そうなのかとわかりました。

(東京・品川区 山川さん 男性54才)

 白川勝彦の世の中つれづれ談義   2010年11月6日 土曜日 (第19回)

APEC開催〜脱「脱亜入欧」のすすめ

話者名話の内容
APEC開催〜脱「脱亜入欧」のすすめ
小泉白川さん、今日はどのような話題をお話しいただけますか。
白川 来週、横浜でAPEC(アジア太平洋経済協力)の首脳会合が開かれますね。アメリカのオバマ大統領や中国の胡錦濤主席らアジア・太平洋諸国の首脳が一堂に会します。
それにしても最近、中国がめざましい経済発展を遂げ、GDP(国民総生産)では、中国が日本を抜き、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国になると言われています。先の尖閣列島問題も強硬姿勢で、日本国内の不動産を買い捲り、北海道の森林まで買おうとしているとかで、日本の関心がは中国に集まっていますね。
話者名話の内容
  このままでは、日本は中国に飲み込まれるのではないかとういうことさえ心配する人も多い。今日は、アジアの中の日本、アジアと日本の関係をどう考えたらいいのかについて、少し掘り下げてお話したいと思います。小泉さん、「脱亜入欧」という言葉を知っていますか。
小泉文字は見たことがありますが、詳しい意味については知りません。
白川

欧米志向を考え直すべき時だ。日本はアジアの国だし、日本人はアジア人だ。

明治の初め、福沢諭吉が使った言葉です。「日本はアジアの国だが、アジアであってはならず、ヨーロッパの国のようにならなければいけない」という意味です。当時はまだアメリカは大国ではなく、ヨーロッパ諸国の方が強国でした。めざせヨーロッパというわけです。アメリカも直接的に二回の世界大戦の惨禍を受けずに済み、大いに発展しました。
私は昭和37年、17才の時初めてアメリカに行きましたが、日本との格差は絶大だと感じましたね。ごく最近まで日本は欧米志向だったんです。
でも、もうそれを考え直すべきだと思います。日本はどこまで行ってもアジアの国だし、日本人はアジア人です。
初めて私がアセアン(ASEAN=東南アジア諸国連合)を訪れたのは、今から20年前の平成2年でした。その時、自分がそれまで持っていた東南アジア観を根本から変えなければいけないと思いましたね。アセアンの成長を目の当たりにしたからです。
日本にとって、最大の貿易相手国はアメリカだと言われていますね。実はそうではないんです。かなり以前から、日本の最大の貿易相手は、輸出も輸入もアジアだったんです。
昭和60年頃、中曽根内閣の時、日米貿易摩擦が表面化し、大きな問題となりました。その時も、アメリカは最大の相手国ではなかった。日本は、ほとんどの原材料をアジアから輸入し、それでできた日本製品をアジア諸国が買っていました。
いま、日本は人口がアメリカの半分。GDPもそうです。ですから、アメリカに近い生活水準にあります。日本に来たアメリカ人も「日本人はまあまあの生活をしているじゃないか」と思うのでは。日本の人口は1億2千万ですが、中国はどのくらいと思いますか。
小泉13億人ですね。
白川そうですね。おおざっぱですが、日本の10倍ですね。
今年中に、中国はGNPで日本を上回って、世界2位の経済大国になると見られています。でも、国民一人あたりのGNPはどうですか。日本の十分の一ですね。そのことを頭に入れる必要がありますね。
もちろん、日中関係は長い歴史がありますから軽視してはいけませんが、かといって神経質になりすぎてもいけないと思いますね。
インドネシア、フィリピン、タイなどアセアン諸国全体の人口は6億5千万、これにインドの11億人を加えれば東南アジア全体の人口は17億を超えますね。これだけ多くの人が住んでいて、しかもその国々と貿易をしてきたわけですから、中国と同じような関心をもち、同じように付き合う、バランスのとれた関係を作るべきだと思います。
アジアの多重債務者の悩みに目を向ける
小泉後半は、お金に関する法律や生活経済の悩み事について、白川さんからアドバイスをいただきます。
前半はアジアの中の日本についてお話いただきました。
白川

多重債務の解決に努力してきた経験が、きっとアジア諸国で役に立つ

いま、日本の人件費が高い、アジアの安い労働力を使ってコストを下げようとしています。でも、中国では人件費が上がってきていますから、企業はタイとかベトナムでものを作ろうとしています。
こうしたことについて、弁護士としての立場から考えていることがあります。
日本は世界2位の規模の経済成長を遂げ、もちろんアジアではトップの生活水準を達成しました。でも、多くの多重債務者を産み、法律を改正して、年収の三分の一以上は借金できないようにせざるを得ない状況がありますね。
豊かな日本でもそうですから、アジアではもっと多くの多重債務者がいて借金問題で苦しんでいると思います。だから、利息制限法などお金に関係する日本の法律や、私たちが多重債務の解決に努力してきた経験が、きっとアジア諸国で役に立つのではないかと考えています。
小泉確かにそうですね。
白川中国にも多重債務者がいるとは思いますが、中国は法治国家というより人治国家ですね。それも共産党が全ての権限を持っていますから、日本の法律や弁護士の活動は参考にはならない。
しかし、ほかのアジア諸国は、おおむね日本と同じ資本主義社会、法治国家ですから、日本の法律は大いに参考になるだろうし、私たち弁護士もサポートできることがあると思います。
そういう考えもあって、来年からお役に立ちたいと思い、まずはそのきっかけにしようと、日本にいるアジア諸国の人たちの債務問題に取り組むことにしました。さっそく、英語の堪能な所員も入れて、相談に対応していくつもりです。
小泉大へん意義あることですね。成果を期待しています。

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