虚と実
08年01月06日
No.668
虚と実。いまわが国の政治が真剣に考えなければならないことである。憲法では、国民の意思は国会で表されると擬制されている。国会は、衆議院と参議院で構成される。衆議院と参議院の意思が違った場合、国会の意思はどうなるのか。予算と条約に関しては衆議院の意思で決まる。法律には憲法59条2項に再可決の規定がある。しかし、それ以外は衆議院と参議院は対等である。衆議院と参議院の意思が一致しなければ、法律は作れない。
確かに自公“合体”政権は衆議院で3分の2を超える議席を持っている。だが次の衆議院議員総選挙で、自公“合体”政権はこの議席を維持できない。次の総選挙では3分の2以上の議席を確保することもできないと予想されているし、自民党や公明党も自らそう考えている。ということは、現在持っている3分の2を越える議席は、仮の姿に過ぎないということである。だから私が“化け物”のような議席というのはそんなにいい過ぎではないのである。“化け物”は虚の世界のものだからである。
自公“合体”政権は3分の2を持っていることをよいことに、新テロ特措法案や租税特別措置法案を通そうとしている。自公“合体”政権が3分の2を超える議席を持っていることは現“実”であるが、それは次の総選挙まである。あと1年7ヶ月の仮の姿に過ぎないのである。従って、この現“実”は虚(うつろ)なのである。“虚”像に過ぎないのである。この“虚”像が映し出しているのは、郵政民営化を絶叫しこれに現(うつつ)を抜かした国民の姿である。いまや小泉首相の化けの皮は剥がれて、簡単に騙されてしまったことに国民は反省している。
もう一度いう。自公“合体”政権が持っている3分の2を超える議席は現“実”である。しかし、1年7ヶ月すると消えていく“虚”像に過ぎないのである。虚(うつろ)が、現(うつつ)や実(じつ:現実に存在しや実体のあるもの)を支配することはある。現在のわが国の政治状況がまさにそうなのである。だがそれは不幸な結果を必ず招く。なぜなら私たちは現(うつつ)の世界で生きているからである。虚(うつろ)の世界で生きていくことはできないからである。
自公“合体”政権が衆議院で3分の2の議席を持っていることは虚である。しかし、総選挙をすれば民主党を中心とする野党が衆議院の過半数を必ず獲得できるというのは願望であり、予想・見込みに過ぎない。その場合、衆議院と参議院の逆転状況は続くことになる。だが、99%以上の確率で自公“合体”政権が衆議院の3分の2を超える化け物のような議席を失うであろう。その場合、自公“合体”政権が国民の名において新テロ特措法案を再可決したりガソリン税の暫定税率を10年間も維持することはできなくなる。虚の意思が国民生活の現実を支配することはできなくなる。
同じ逆転状況でも、その逆転現象は“現実”なのである。国民の現実の選択なのである。しかし、過去の虚像に縛られた現在の逆転現象は解消される。自公“合体”政権が、その邪な意思を“国民の意思”として押し付けてくる現実はなくなる。その意味で解散総選挙は一日も早い方が良い。自公“合体”政権は総選挙を先に延ばそうとしている。過去にしがみつく者には、新しい道を切り開くことはできない。過去にしがみつく者を保守とはいわない。保守とは現実を重視する考えである。自公“合体”政権は現実をみるのが恐いのだろう。そんな臆病な者にわが国を任せてよい筈がない。これが今日の日曜定番の政治番組を観た私の感想である。
それでは、また。