馬鹿らしき事どもの検証
08年09月26日
No.942
政界の動きは、目まぐるしい。麻生内閣の誕生を受けて、報道各社が一斉に世論調査を行った。いろいろな人が思惑を込めて、さまざまなコメントを述べているが、私が自公“合体”政権の選挙関係者だとしたならば、「あぢゃ〜」以外の何物でもない。完全な目論見違いである。こんな明々白々としたことが分からないのだろうか。嘘だと思ったら、自民党・公明党の選挙関係者に取材をしてみれば簡単に判る筈である。
そんな中で昨日、小泉前首相が引退を表明した。さすがは機を見るに敏である。麻生首相の政治センスやパフォーマンスなど、足元にも及ばない。麻生首相や大臣たちが良かれと思って必死にやっているダサいパフォーマンスなど、これで完全に吹き飛ばされてしまうであろう。麻生首相や自民党にとって、非常にマイナスであることは確実である。そんなことにお構いなしなのが、小泉氏の小泉氏たる所以なのである。麻生首相の政治的本性・資質について少し経過を辿って考えてみたい。
政治を見たり考えて、こんがらかって分からなくなったら、基本・原理原則に立ち返るのがよい。いまがそうである。福田首相がなぜ突然政権を投げ出したのか。腹痛か腹下しなのか知らないが、安倍首相も唐突に辞めた。麻生氏が自民党幹事長になると、1ヶ月もしないでなぜか首相が唐突に辞任する。安倍首相が辞任したのも、福田首相が唐突に政権をなげだしたのも、私にいわせれば少しもおかしいことではなかった。この二人が首相の座におさまっていたことがおかしかったのである。
昨年の参議院選挙で自民党は歴史的大敗を喫した。にもかかわらず、安倍首相は続投しようとしたのだが、それはどう考えても無理だったのである。馬鹿は馬鹿なりに続投が厳しいと思った安倍首相は、麻生氏に幹事長を要請した。麻生氏は自分が幹事長として支えれば何とかなると考えてこれを引き受けた。だが、所詮そんなことは無理なのであった。結局のところ安倍首相は辞任せざるを得なかった。
参議院選挙のあの大敗は、只事でないのである。自公“合体”政権は、その危機に対し尋常ならざる決意をもって臨まなければならなかったのである。文字通り“背水の陣”を取る必要があったのに、福田康夫氏を首相に据えたのではそもそも背水の陣にはならないのである。そんなことが分からないのがいまの自公“合体”政権なのだ。
痩せ細った大将が“背水の陣内閣”といくら叫んでも、福田大将で決戦に臨むことなどそもそも無理なのである。そんなことは最初から分かっていた筈である。こんなことが分からないようでは話にならない。だとしたら、福田首相はもっとも良い時期を狙って自然な形で大将を退くことが唯一の戦術だったのである。そう、“自然な形・成り行き”で退くことが大事だったのである。衆議院の任期が満了する2009年9月までの間にその時期は必ずあった筈だ。ところが、鳴り物入りの内閣改造から1ヶ月も経たない内に辞めたのでは、自然な形に映らないであろう。しかも時期はずれの大袈裟な総裁選をやったのでは、誰だってこれは胡散臭いと思う。
この総裁選で選ばれてきたのが麻生首相である。この人は1ヶ月前に福田首相に請われて、また幹事長に就任していた。これでは出来レースと思われても仕方がない。ひょっとすると内閣改造について話し合ったとき、今回の出来レースのシナリオは出来上がっていたのかもしれない。そうだとしたら、これはあまり出来の良いシナリオじゃない。シナリオも悪い。役者も悪い。時期も悪い。そんな三文芝居に興じるようでは、観客も悪いといわれてしまう。しかし、自公“合体”政権はこの三文芝居を厚顔無恥にも興行したのである。国民も舐められたものである。このように事態を整理してみると、次のことが明らかになる。
- 麻生氏は安倍首相辞任と福田首相辞任に深く関与している。辞任の直前にあった事態に深く関与しているからである。二人の首相が政権を投げ出すことになった事態の責任者でもあるのだ。そういう事態が到来することが読めないようでは、麻生氏はよほどの政治音痴ということになる。
- 麻生氏が二人の首相の政権投げ出しという事態を予測していて、自民党幹事長の職に引き受けたのだとしたならば、麻生氏はかなり腹黒い政治家ということになる。明るくおどけてみせる姿は、仮面ということになる。
Aなのか、それともBなのか。どちらが本当なのであろうか。私はAでもBでもないと思っている。その両方なのだ。政治音痴で腹黒い政治家のである。このことが判明すれば、国民や野党のの対処方針は簡単であろう。
政治音痴ということは、政治の本質を知らないということである。目の前に座っている人が1ヵ月後に政権を投げ出すことを肌で感じられないような人は政治家ではない。こんな人がもっともらしい事をいっても恐るるに足りない。腹黒い人というのは、卑しいのである。志が高くないのである。人を平気で騙す。だから、そういう政治家のいうことに決して騙されないことである。
馬鹿らしいことでも真面目に検証してみるとこのように大事なことがみえてくる。無駄ではない。そのような総理大臣は、辞めさせることが一番である。自公“合体”政権そのものに引導を渡す秋(とき)がきた。
それでは、また。