過則勿憚改
08年11月12日
No.988
昨日の永田町徒然草No.987で私は「“過ちを改めるに憚ることなかれ”だ」と書いた。もちろん“2兆円ばら撒き”についてだ。そしたら森田実Webサイトの『時代を斬る』のコーナーにある“森田実の言わねばならぬ【823】”も、表題に「過ちては改むるに憚ること勿れ」(孔子)を掲げていた。論じているテーマは私と同じ2兆円ばら撒きに関するものであった。
過則勿憚改
(読み) 過(あやま)ちては則(すなわ)ち改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ。
(語意) 人はだれでも、あやまちをおかさないものはない。問題はあやまちを改めるかどうかである。つまらない人は自分のあやまちを弁解し、飾ろうとするが、すぐれた人は、すぐに改め、一つのあやまちを一つの貴重な経験とする。・・・・・・諸橋轍次著『中国古典名言事典』
私が永田町徒然草No.987をupdateしたのは、2008年11月11日07時47分であった。私は森田実氏のWebサイトを毎日拝見している。永田町徒然草をupdateした後、森田サイトを見たが、前日から更新されていなかった。従って“言わねばならぬ【823】”はまだ掲載されていなかった。もちろん森田氏と打ち合わせなどは全くしていない。少しく見識ある者からみたら2兆円ばら撒きは、過ち以外の何物でもないのである。森田サイトの記事は貼り付けにくいので、全文を引用させて頂く。
麻生政権の迷走は目に余る
――2兆円の一律給付金支給の方針はご破算にして出直すべし「過ちては改むるに憚ること勿れ」(孔子)
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2兆円の給付金をめぐる混乱・混迷は目に余る。これはご破算にして出直すべきである。
公明党の定額減税提案から始まった2兆円をめぐる麻生政権の混乱・迷走はひどすぎる。総選挙の直前に国民に現金を配分するような政治的に不明朗なことを政治は行うべきではない。政治が頽廃する。
いまなすべきことは政治の正常化である。与野党で話し合い、政治スケジュールを固め、国民のための政治に全力を尽くすべきである。いまのままでは日本の政治は堕落する。政治道議が廃れる。止めなければならない。
いま取り組むべきは景気回復と経済危機突破である。2兆円の使い道は白紙にして、より有効な方策を検討すべきである。いまなすべきことは出直しである。もうこれ以上混迷をつづけるべきではない。日本の政治の恥である。
「衆議院の3分の2もいる自民党や公明党の国会議員の中には異を唱える者など一人もいない。彼らは国会に転がっている石ころに過ぎない」と私は詰った。森田氏は「日本の政治の恥である」と結んでいる。論旨は同じである。森田氏の論説はだいたい私と同じことが多い。注目するテーマや力点が違うことはあるが、森田氏の論説に私はほとんど賛同できる。ところで“石ころ”と“日本の政治の恥”は、果たしてどちらが厳しい難詰なのであろうか。その程度の違いがあるくらいである。
私が森田サイトの上の記事を目にした時刻は、2008年11月11日午後6時半ころであった。森田サイトをこのように1日に数回も見ることは珍しいことだが、それには少し理由(わけ)がある。昨日updateされた“言わねばならぬ【820】”の記事について、礼状を書かねばならないと思って改めて開いたのである。ありがたい記事ではあるが、少し“こそばゆい”ところもある記事なので、敢えて同記事の全文を掲載させていただく。
日本の政治を歪めた自公連立政権徹底批判の書
2008.11.8(その3) 森田実の言わねばならぬ【820】
平和・自立・調和の日本をつくるために[815]
【図書紹介】白川勝彦(元衆議院議員)著『自公連立解体論―自由主義が衰退すれば日本は滅ぶ』(花伝社、2008年10月刊、1500円+税)――日本の政治を歪めた自公連立政権徹底批判の書
「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」(吉田松陰)
[白川勝彦氏は自らの人生を回顧してこの松陰の和歌を引用している]
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白川勝彦さんから本書が贈られてきたのですぐに一読した。力強い迫力ある文章で書かれている。一気に読了した。いま白川さんが自民党議員でいたら有力な総理総裁候補である。自民党は、というより政界は惜しい人材を失ったとの感をもった。
白川勝彦さんは、1945年新潟県生まれ。1968年東京大学法学部卒。1971年司法修習を終え弁護士に。1975年30歳で衆議院選挙に立候補を決意、郷里の新潟4区(当時/現在新潟6区)で政治活動を始め、1979年34歳で初当選(以後、当選6回)。国土政務次官、郵政政務次官、商工委員長などを務めた後、1996年11月自治大臣・国家公安委員長に就任。自民党では、総務局長、団体総局長、新潟県連会長などを務めた。2001年2月自民党を離党。公明党の政権参加を批判する「新党・自由と希望」を設立。現在、弁護士。多重債務に苦しんでいる人たちの力になる仕事に取り組んでいる。
白川勝彦氏は29年前の1979年の初当選のときから政治記者の間では注目されていた。私も参加していた政治記者、放送記者、政治評論家の会で、若手代議士の白川勝彦議員を招いて話を聞いたのは1980年代初めのことだった。この会に招かれるのはほとんど閣僚および閣僚級の大幹部に限られていた。白川勝彦氏がいかに期待されていたか、おわかりいただけると思う。白川勝彦さんがいまも自民党にいたら、自民党の救世主になれたかもしれないと思うと残念である。
本書は中身の濃い政治論であり、説得力がある。自公連立政権は風前の灯である。もうすぐ終焉するであろう。本書のなかには私の「公明党・創価学会」論も引用されている。
私は白川氏に少なからず好意を感じていた。白川氏が再び政治の舞台に登場できるかどうかはわからないが、政界に復帰できれば、有力なリーダーの一人になることは明らかである。それほどの逸材だと私は思っている。
政治というのは間違いばかり繰り返している。自民党と公明党・創価学会が白川勝彦氏のような逸材の政界での活動の場を奪ったのは、取り返しのつかないほどの大過失である。当時の自民党と公明党・創価学会の指導者にほんの少しの忍耐力と寛容さがあったら、日本の政界はこれほどの人材を失わずに済んだであろう。自民党は公明党・創価学会の選挙パワーに頼ることによって、自らの自立的な力を失った。もはや単独・自立の政党である力を失ってしまった。
もうすぐ新しい時代が始まる。奇跡が起きて、白川勝彦さんが政治家として復活することを祈りたい。
森田実氏とはこれまでに数回お会いしたことがある。森田氏は私のはるか上の大先輩であるが、いつも丁重に対応して下さった。ご尊顔も温厚である。田舎育ちの無骨者の私などとはえらい違いである。森田氏は私が休んでいた間もWebサイトで毎日発信さていた。
2年前から私も永田町徒然草を毎日更新するようになった。それからはWeb上の良きライバルである。森田氏は目の関係でWebサイトを直接に見ることはしないそうである。プリントアウトしたものを見ているとこの前お会いした時に話されていた。大先輩かつWeb上の好敵手である森田氏から『自公連立解体論』についてこのようなお褒めの言葉を頂くことは、望外の喜びである。心から御礼を申し上げる次第である。
それでは、また。