一期一会の覚悟
10年04月09日
No.1430
今週は風邪との闘いであった。完全に風邪やインフルエンザに罹ったという訳ではないが、その一歩手前であったことだけは確かである。事務所のスタッフはもう風邪だというが、私は風邪の一歩手前、風邪気味だと言い張ってきた(笑)。何故かというと、体調管理も仕事の内だといってきたからである。とにかく、昨年から今年にかけて風邪が流行った。10人近くいるスタッフの一人くらいが、いつも休んでいるという状況だった。その中で、私だけは元気だったのだ。
実際問題として、弁護士は風邪だからといって簡単には休めない。期日が決まっている法廷は、風邪だからといって休む訳にはいかないのだ。相手方弁護士に話をして、期日を延期して貰わなければならないが、その場合、私の方は法廷を欠席しても、相手方弁護士には法廷に出て、次回期日を指定してもらわなければならないのだ。訴訟を提起してまだ被告に代理人が付いていない場合は、それもできない。原告代理人である私が欠席し、被告側の誰も出席しなければ、提起した訴訟は“休止”となる。その場合、もう一度訴訟を提起する必要はないが、私の方から弁論の再開を申し立て、もう一度期日を指定してもらわなければ、永久に“休止”となるのだ。
裁判でなくとも、毎日面談のスケジュールは入っている。こちらの方は、面談予定者と連絡が付けば延期して貰うことはできる。しかし、私はそれを避けたいと思っている。特に債務整理を考えている方との面談予定は、キャンセルしたことが無い。何故ならば、債務整理のことで弁護士事務所の電話をすること自体が、その方にとっては“一大事”。勇気を奮って初めて電話したのだ。債務整理に必要なのは、その“勇気”なのだ。債務整理の派手な広告は数多くあるが、真面目な人ほど弁護士事務所に電話すること自体が“大事(おおごと)”。勇気が要るのだ。
せっかく勇気をもって電話し、弁護士と面談することになっていたのにそれがキャンセルされたら、債務整理の意欲が萎(な)えるかもしれない。風邪のためにその方の債務整理の機会を失わせたとしたならば、その責任は大きい。政治の世界でもそうだったが、法律の世界でも“一期一会”なのだ。私は人との約束をそう考えてきた。だから、兄の死去の際にも、今回の風邪騒動(?)でも、決定していたスケジュールは一切キャンセルしなかったのである。
この1週間、せっかく作った政治向きのTwitter で風邪と体調のことを執拗に書いてきたのは、そのような理由なのである。私の Twitterをフォロー している方は、この1週間風邪のことばかり読まされて、辟易(へきえき)したであろう。また、なぜ大袈裟に体調のことを書くのかと訝(いぶか)った方も多かったと思う。インターネットの情報発信だって、私は“一期一会”だと思っている。新党騒ぎの1週間であったが、この1週間の私の体調では適切なコメントを出せる状態ではなかった。私は、私を頼って来て下さる方々との約束を果たすことで精一杯だったのだ。
私は新党“たちあがれ日本”に参画が報道されているメンバーすべてと、それなりの付き合いがある。中には、好敵手と呼んだ方が良い人もいる。しかし、いずれのメンバーについても言えるのは、政治に対する必死さが私以上にあるように思えなかった、ということ。いずれのメンバーも、その人自身のオリジナリティがないのだ。身内の誰かのオリジナリティに依存しているのである。政治をやる迫力は、その人自身のオリジナリティから出てくるのだ。新党を立ち上げるとなれば、猶更(なおさら)である。このコメントを参考に、この新党の行方を占えば、多分そんなに間違いはないであろう…。
それでは、また。
