平成23年師走の思い
11年12月04日
No.1524
今年も、師走となった。いろいろな事があったから、例年よりも、師走の感慨を強くしているのではないだろうか。私はいつも“諸行無常”を口にしているから、割合に特別な想いはない。想いは特別にないが、事態は、確実に進行し変化している。そして、特に悪い方の傾向を示す数値は、確実に大きくなっている。
あらゆる動きには、一定の傾向というものがある。その傾向を占うために、科学というものがある。自然科学だけではなく、人文科学(社会科学)もそのひとつだ。人の世の諸々(もろもろ)の事どもの傾向を探るために、人文科学がある。私は、自然科学を専門とする者でないから、世の中の傾向を、できる限り人文科学的に見るように努めている。私が“悪い方の傾向を示す数値”と呼んだのは、特に、経済や国民の暮らし向きのことである。
経済の話というと、経済学者やエコノミストが出てきて難しい話をする。しかし、日本語の“経済”のおおもとは、確か“経国済民”だったと記憶している。だから、経済といっても、難しく考える必要がない。要するに「庶民の暮らし向き」ということではないのか。世の中の大きな変化=革命の原因は、経済が原因だといわれる。今年の大きな出来事であった“アラブの春”も、経済の悪化が原因だったという。イスラム世界については、よく分からないことが多いが、彼の地の庶民の暮らし向きが悪かったことが原因だったのだ。
わが国の庶民の暮らし向きも、すこぶる悪い。通貨危機に苦しむ外国から見たら不思議に思われるだろうが、わが国の庶民の暮らし向きは、すこぶる悪いのである。「東日本大震災があったから、福島原発の事故があったから」と思われるのかもしれないが、決してそうではない。どちらがなくても、多分、わが国の庶民の暮らし向きは、昨年よりも悪くなっていたであろう。それは、庶民の暮らし向きを悪くしている原因に対して有効な対策をとっていないからである。
庶民の暮らし向き=経済が悪くなったのには、それなりのハッキリした原因がある。辛くても、そのことに目を背けずに“倦まず弛まず”立ち向かっていかなければならない。事態は、たとえ真っ向から立ち向かっても、すぐには改善されないかもしれないが、立ち向かうことを避けていたのでは、悪くなるに決まっている。私たちは、この単純な事実に気が付かなければならない。そして、気が付いた者から努力を始めなければならない。私は、そうした思いから、青年のように毎日努力をしている。これが、私の今年の師走の思いであり、毎日でもある。
それでは、また。