師走あれこれ
11年12月11日
No.1,525
今年は、真珠湾攻撃・太平洋戦争開戦から70年目になるという。昭和は、初めからずっと戦争という印象をもたれているが、やはり、日米開戦から戦争の質が変わったようである。私は戦争史にほとんど興味がないので、戦争のことはあまり知らない。戦記物が大好きな友人もいるが、ときどき話を聞くくらいで十分だ。毛沢東は「戦争は最高の政治形態」というが、やはり、ゲーム的なところがあるような気がしてならない。
この土曜日の夜、NHKで「真珠湾からの帰還~軍神と捕虜第一号~」をみた。ドラマであったが、面白さを狙うドラマというより、ドギュメンタリー風のドラマだった。こういう視点から日本の戦争を考えさせるドラマは、初めてみた。太平洋戦争の惨劇は「生きて虜囚の辱を受けず」の 戦陣訓の一節に、大きな原因があるといわれている。戦争の指導部からみれば都合が良かったことだけは、確かだろう。
太平洋戦争は、戦線の展開 ー 物資の補給という点で、軍事的には極めて稚拙な作戦が多かったという。戦争にならない戦闘を挑み、ほとんどの作戦が惨めな結果に終わった。「生き延びることが実際の戦争だった」という兵士たちの証言を多く聞くと、戦争を指導した大本営の軍事的未熟さは、指摘されざるを得ないであろう。太平洋戦争は、そもそも、仕掛けてはならない戦争だったのだろう。
いまNHK特別ドラマ『坂の上の雲 ー 第三部』が放映されている。昨日の放送で、旅順・203高地攻撃が、ようやく終わった。2回とも、とにかく戦闘場面の連続だった。あまり評判は良くなかろう。大スペタクルなのだが、それにしても、あまり出来の良い大スペタクルではなかった。見ていても、何が何だかよく分からないのだ。黒澤明監督の、『七人の侍』の戦闘シーンを参考にする必要があるようだ。
来週からは、いよいよ日本海海戦が始まる。日本海海戦の話は、子供のころに親父や兄からよく聞かされたものだ。楽しみにしているが、果たして、親父や兄たちの話のように何かを感じさせてくれる映像に、なっているだろうか。「“映像力”の劣化は、文化の劣化だ」というのが、私の考えである。くだらないCMが多いのも、同じように思う。とにかく、わが国の“文化力”は衰えている。文化力がなければ良い商品開発もできないと、私は思っているのだが…。
今年も、あと僅かだ。今年中にやるべきことは、きちんとやり遂げておきたいと思っている。だから、この土日も、私はほとんど仕事に忙殺されていた。私が知っている師走は、とにかくみな必死であった。最近の師走には、そのような勢い ― 迫力がない。人生長いようだが、せいぜい70~80年だ。70回か80回の区切りをしなければ、だらんとした人生になる。私は、そう考えてきた。
今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。