保守を結集する !?
12年10月25日
No.1534
平成7年(1995年)4月14日、衆議院本会議場でのこと。石原慎太郎代議士は、国会議員在職25年表彰の国会演説で、議員辞職を表明した。私は、その演説を本会議場で聞いていたが、これといった感慨は、ほとんどなかった。石原氏とは同じ党にいたが、もともとモノの考え方が違っていたので、ほとんど接触したことはなかったし、辞職表明演説そのものにも、これといった内容が無かったからである。今日、石原都知事の辞意表明に接したが、その時と同じ印象を覚えた。
石原氏は「都知事を辞めて、国政に復帰する」といったが、国政の場で石原氏がやるべきことは、残念ながら殆どないであろう。随分前から、“石原新党”が取り沙汰されていた。一部には期待する向きもあったが、私は、ほとんど関心が無かった。確かに、国政は混迷の極みにある。その根本原因は、自公民・談合の消費税の増税である。また、原発をどうするか、経済の再生をどう図るかということである。
石原氏は、保守勢力の結集を図ることを大きな目標にしている。石原氏がいう“保守”とは、いったい何なのであろうか。尖閣問題を現実の政治プロブレムにしてしまったのは、石原氏であった。そのために日中関係はおかしくなってしまい、いまや、日本経済にまで影響が出始めた。歴代の自民党政権は、少なくとも、尖閣問題を政治プロブレムにしないという智恵をもっていた。民主党や石原氏は、尖閣問題をどうしたいと望んでいるのか、少しも分からない。
石原氏は「第三極を作る」というが、政治課題でいうと、果たして第三極には何が求められているのだろうか。国民にとって現下の最大の政治的課題は、「自公民・談合の消費税10%」である。消費税を10%にすれば、日本経済は確実にダメになる。また、それが成立した過程は、わが国の民主政治を踏み躙るものであった。自由主義政治を蔑にするものである。自由主義者なら、これを認めることは到底できない筈だ。
石原氏は、大阪維新の会を率いていた橋下大阪市長と昵懇のようだが、橋下氏の主張も、これらの点については曖昧である。石原氏は消費税10%に大賛成だし、原発にも大賛成のようだ。日本維新の会は、石原新党と連携しようとするならば、これらを曖昧にできなくなる。いまは、自公・民と違う政治勢力を第三極と呼び、第三極ならば国民が支持してくれると思っているようだが、掲げる政治課題が自公・民と同じであれば、国民はそんな第三極を支持しないであろう。
マスコミは大騒ぎをしているが、石原氏の今日の表明には、私の心に訴えるモノは何もなかった。石原・橋下氏の周りでウロウロしている人々の言にも、これというモノはなかった。半月くらいは政治のニュース報道番組で大きく扱われることになるが、たぶん、早晩小さな動きになっていくであろう。さて、そうすると、誰が第三極の本当のリーダーになるのだろうか。意外に、一瞬のうちに生まれるような気がする。事態は、緊迫しているからである。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。