政治の限界を知ること
14年09月13日
No.1693
9月の最初の3連休である。9月22日の月曜日に休みをとれば、9月20日から23日までの4連休となる。もちろん、完全に土日休みの会社に勤めている人の場合だ。このような恵まれた会社に勤めている人も、いまや少なくはないが、そうでない人もかなりいる。会社は休みとなるが、給料は貰えないという人も結構多いのだ。非正規労働者が、いまや労働者の3分の1を超えている。このような人にとって、休日の多い月というのは、実のところ恐ろしい月なのだ。
白川勝彦法律事務所の職員は隔週土日休日だが、私は、土曜日も原則として勤務する。今度のお彼岸の休みも、暦どおりに出勤する。債務整理という仕事の性格上、これは已むを得ないと心得ている。365日年中無休という政治家の仕事を長年してきたので、日曜日と国民の祝日を完全に休める現状に、少しも不満はない。この歳で仕事がある=働けるということの方が、幸せだと思っている。
土曜日は“半ドン”という訳ではないが、平日よりは普通、仕事は少ない。いつも、少し早目に事務所を出られるが、この永田町徒然草を書くという、もうひとつの仕事がある。これを仕上げると、私の本当の週末がくる。以前のような毎日のupdateこそしなくなったが、今週は何を書こうかと、いつも考えている。ところが最近では、1週間に重要な出来事がいくつも生起し、ティピカルなテーマを取り上げて論を展開するのは困難な状態である。
政治の世界では、ある問題を取り上げれば、取り上げなかった問題は二の次だという意味になる。政治とは、そのように厳しいものである。これを承知の上で、国際政治の上で私がいちばん問題にしたいのは、オバマ大統領の「イスラム国」壊滅宣言である。オバマ大統領の気持ちは分からないではないが、これはやはり重大発言である。この決定は、アメリカがまた泥沼の戦争に巻き込まれるのを意味し、世界が、無限地獄に陥ることになる。本当にそれで良いのだろうか。
米5代大統領ジェームス・モンロー
1823年の教書演説で、アメリカはアメリカ大陸へのヨーロッパの干渉を容認しないというモンロー主義を発表した
自由主義者は、政治が万能ではないことを知っている。自由主義の政治思想は、政治の限界を知っている。国際問題の分野で政治にできることは、ほんの限られた問題。その程度にしか解決能力がないというのが、歴史の教訓である。アメリカのモンロー主義は、これを知った上での、アメリカの国際問題に対する伝統的な基本だったのだと私は思う。第二次世界で勝利したアメリカは、己の力と政治の力を過信して、国際政治の主役・世界の警察官になろうとした。
第二次世界が終わって、やがて70年となる。アメリカが世界の主役となり、ソ連邦の崩壊以後は、世界の警察官たらんとした。だが、その結果、果たして世界は良くなり、平和になったのだろうか。また、肝心のアメリカは良くなったのだろうか。オバマ米大統領のイラク・アフガニスタンからの撤退は、こうした路線への反省だったのではなかったか。私は、このような視点から、国際政治についての分析が必要だと考えているのだ。
国内のことに触れれば、いろいろな問題があるが、それらは、目まぐるしく動いているだけのこと。ただ騒ぎ立てているだけである。私に言わせれば、ごった煮の雑炊がぐつぐつと煮立っているだけだ。雑炊は、程よく煮立てれば本当に美味しくなるものだが、具材と味付と火加減が悪ければ、そうはならない。鍋物の季節になると鍋奉行を自認する私が言うのであるから、間違いはない(笑)。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。