いよいよ明日から都知事選
07年03月21日
No.371
いよいよ明日から統一地方選前半の知事選が始まる。知事選挙の統一度もかなり少なくなった。東京都の知事選がまだ統一地方選挙で実施されるということは、なにかと話題を提供した多士多彩な都知事を輩出してきたにもかかわらず、皆さん任期満了までちゃんと務めたということである。ちょっと意外である。さて今度の都知事選だが……。
私はこれまでに数回都知事選について書いてきた。その中で浅野氏やこれを支持する陣営についてかなりシビアなことを述べてきた。誤解のないようにいっておくが、それは私が石原慎太郎都知事を今回の選挙で終りにしたいと心から思っているからである。国会にいるとき、私は石原氏といつも対極にあった。彼はタレント候補のハシリだった。また一見ハイカラそうなことをいっていたが、右翼反動の政治家である。それ故に、政治のプロがいる国会では、彼は結局何もできず最後は敗北宣言をして国会を去った。
国会に比べれば厳しい批判に晒されない都知事という立場を巧妙に使って、石原氏は彼の政治的本性を十分に発揮し、わが国の政治に一定の影響を与えてきた。当然のことながら、ほとんどの問題で私は彼のいうことに賛成できないし、その対極にある。だから石原都知事を今度の知事選で終りにしてほしいと誰よりも強く願っている一人である。しかも、石原氏の本性が暴露され、彼は裸の王様となり、ヨレヨレである。彼に引導を渡すことは、少し知恵者がいればいとも簡単なことであると思っていた。しかし、ご案内のように石原都政を終りにしたいという陣営の動きはモタモタしていた。そして結局は、石原氏と浅野氏の事実上の一騎打ちということで明日から都知事選が始まる。
昨日(3月20日)の朝日新聞38面に「石原氏が支持を拡大――女性ら幅広く浸透」という見出しの記事があった。同社が3月17、18日に行った第2回情勢調査(世論調査を含む)の記事である。記事には「石原氏は無党派層で浅野氏をリードし、民主支持層の一部からも支持を得ている。前回(10、11日調査)浅野氏支持が多かった“都政が大きく変わってほしい”と答えた層でも浅野氏と支持が拮抗している」「浅野氏は無党派層での支持が伸びておらず、選挙に“大いに関心がある”層の支持が低下。2016年の東京五輪招致を“再検討すべきだ”と答えて層でも石原氏への支持に及ばない」と書いてある。
告示直前ということをふまえて婉曲な表現を使ってはいるが、長年選挙に携わってきた者が読めば、要するに石原氏当選の可能性極めて濃厚といっているに等しい。浅野氏を支持する陣営に抱いてきた私の危惧が単なる繰言でなかったということであろう。浅野氏を支持する陣営というのは、すなわち民主党を中心にする野党であり、特定の政党を支持していない人たち(あえて“無党派層”という表現を使わない)である。民主党についていえば、国政では自公合体政権に対する対決姿勢が甘いことに多くの国民が不満をもっている。その弱点が都知事選に対する対応でもいろいろな場面で感じられたから、私は警鐘を鳴らしてきたのである。
このままでは、石原都政を終りにすることは極めて困難であろう。これは石原氏が強いというより、これに対抗する勢力が弱すぎたからである。自公合体政権を支持する勢力は、これからも必死になって石原氏を応援するであろう。石原氏が倒れたら、ドミノ現象で被害が自らに及ぶことを知っているからである。朝日新聞の調査に粉飾はないであろう。そうだとすると選挙戦の各候補の戦いをみて、東京都の有権者が賢明な判断を下してくれることに期待するしかない。永田町徒然草No.357「都民のパフォーマンスは?」で、私が述べたかったのはこのことなのである。
それでは、また明日。