狂気のグローバル化
16年11月05日
No.1874
連日、アメリカの大統領選のニュースが、必ず報道される。これは、日本だけのことではなかろう。しかし、その映像に映し出される両候補の言葉や表情は、とても世界のリーダーとなる人のものとは思えない。お隣の韓国でも、信じられないようなスキャンダルが発覚した。北朝鮮では、毎日のように悲惨な事件や弾圧が起こっているのだろう。
ヨーロッパでも、人権に深く関わる、いろいろな出来事が起こっている。何千、何万という行き処のない人々が、各国政府の思惑により収容所に入れられたり、移住を余儀なくされている。中東では、戦争により多くの人々が、その犠牲になっている。その結果、何十万、何百万という人々が、また難民となるのだろう。アフガニスタンとイランに端を発する難民問題は、煎じ詰めると、ブッシュ米大統領が始めたテロとの戦争に起因している。
わが国の国会では、TPP条約が強行採決された。私は、TPP問題に確たる意見を持っていない。だから、これまでほとんど触れたことがない。しかし、今日読んだある論文によれば、「わが国が今日のような経済発展を遂げることがてきたのは、決して自由貿易の恩恵ではない。日本は、保護政策によってわが国の産業を守ってきたからだ」というのだ。TPPというある種のブロック経済圏を作るのは、埒外の発展途上国の成長を阻害することになるというのである。この論に私は、いささか同感するところがある。
この外にも、憂慮すべきことはいろいろある。これを煎じ詰めると、「世界はいま、これまで共通の価値観として大切にしてきた知性とか感性を、失っているのではないか」との思いを持たざるを得ない。人間や社会が知性や感性を無くせば、それは狂気である。どうも、狂気が世界中に蔓延しているという気がしてならない。
経済のグローバル化ということが言われて久しくなるが、狂気もグローバル化しているのではないか。そして、両者には関連性があるのではないか … どうも、そういう気がしてならない。経済のグローバル化とは、強大・強力な企業が、自分たちに都合のよい制度を作り、地球規模で活動する様をいう。いま世界中に蔓延している狂気は、政治的強者が己の支配を全うしたいという野望なのではないか。私は、最近そういう考えを持っている。
それでは、また。