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Liberty or Death

07年01月10日

No.301

「鉄鎖と奴隷化の代価であがなわれるほど、生命は高価であり、また平和は甘美なものでしょうか。全能の神よ、かかることをやめさせてください。わたしは他の人がいかなる道をとるかは知りません。しかし、わたしに関するかぎり、わたしに自由をあたえてください。そうでなかったら、わたしに死をあたえてください」(中屋健一訳)

 Give me Liberty or Death. この有名な言葉を知らない人は、永田町徒然草の読者の中にはまずいないだろう。しかし、前の言葉となるとご存知ない方も多いであろう。1775年3月23日ヴァージニヤ植民地協議会でパトリック・ヘンリー(1736~1799)が民兵の訓練強化と防備体制の確立案を提出した際、イギリス本国との和解と平和な道をもとめる保守派に反対された時、独立のためには武力衝突が避けられないことを主張した演説の一節である。「鉄鎖と奴隷化の代価であがなわれるほど、生命は高価であり、また平和は甘美なものでしょうか」とは激しいではないか。アメリカ独立運動の闘士なるが故にはじめて平然と口にすることができる言葉である。「わたしは他の人がいかなる道をとるかは知りません。しかし、わたしに関するかぎり云々」と最初から保守派を食っている。

「自由とは、他人を害しないすべてのことをなしうることにある。したがって、各人の自然的諸権利の行使は、社会の他の構成員にこれらと同一の権利の享受を確保すること以外の限界をもたない。これらの限界は、法律によってでなければ定められない。」 1791年にはじめて制定されたフランス憲法第4条である。永田町徒然草No.282で述べた「公=公共の福祉」に関する実に明快な基準ではないか。テロ対策・治安の維持に必要だといって基本的人権を平気で踏みにじっていく自公政権。これを従順に受け容れ異議を唱えないようとしない国民に噛みしめてもらいたい条文である。

「イギリス人は、自由だとおもっているが、それは大きな間違いである。彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけで、議員が選ばれるや否や、イギリス人は奴隷となり、無に帰してしまう。」 直接民主制を主張するジャン・ジャック・ルソー(1712~1778)が、当時政治先進国といわれていたイギリスの議会制について批判した言葉である。郵政民営化の是非を問うといって詐欺的な手法で手に入れた3分の2の議席で滅茶苦茶なことが行われているわが国の政治の現状をみたらルソーは何というのだろうか。「主権は人民にあり、政府は権力を委任された機関に過ぎない」と人民主権論を展開しフランス革命の精神的支柱となったルソーの『社会契約論』は、革命の約30年前に出版された。

まだまだ沢山あるがコンパクトにしないとまた叱られるからこの三つだけにしておこう。憲法改正問題講座の執筆のために読み込んでいる本からの抜粋である。いまから250年前に私たちと同じ人間が述べ、かつこれに賛同する人々が多くいたことに思いを馳せなければならない。私がいわゆる政治的な番組を俗悪といい、ヘドが出るという気持ちが分っていただけるだろうか。政治はもっと厳粛なものである。真面目にやってもらいたい。

それでは、また。

  • 07年01月10日 04時25分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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