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白川・上柳 放送対談中の表情写真

 ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜  2011年4月12日 火曜日 (第11回)

テーマ 「成年後見制度について」

話者名話の内容
上柳ごごばんリスナーのあなたに法律の問題について色々と聞いていただこうという「ごごばん!法律クリニック」。スタジオにはお馴染み、白川勝彦法律事務所・白川勝彦弁護士です。宜しくお願い致します。
白川宜しくどうぞお願い致します。
堀・
増山
宜しくお願い致します。
話者名話の内容
上柳今日からまた改めてラジオの前の方から頂いた相談にお答えいただこうと思います。宜しくお願いします。練馬区のカズコさん、50歳の方からの相談メールです。
増山
私の両親は実家で二人暮らしをしています。先日82歳になった父が認知症と診断され、母が介護をしています。以前、新聞で認知症の高齢者を狙ったリフォーム詐欺などが横行していると知り、父の財産が狙われないかと不安です。友人に相談すると「成年後見制度」というものがあると聞きましたが、これはどういう制度なのでしょうか?
上柳本当に詐欺というのは弱いところ弱いところを憎らしいくらい狙ってきますが、白川先生「成年後見制度」ほんと初めて勉強不足で聞いたんですけど。
白川私も今回改めてよく調べたくらいで、私が司法試験の勉強をしている頃には「成年後見制度」とかっていうのはありませんでした。
上柳そうなんですか。
白川それに対して、昔からある制度、明治時代からあるのが「禁治産者」。「禁治産制度」ってのがあるんですね。これは難しいですが「財産を治めることを禁じられた者」と。
昔は、家単位で家の財産でみなさん生活していたわけなんで、それを道楽息子あたりがうっぱらっちゃったりしたら一家路頭に迷うじゃないですか。だから、基本的にはそういう場合は「禁治産者制度」っていうのがありまして、それはいまの「成年後見制度」も同じなんです。
「精神上の障害により事理を弁識する能力を著しく欠く常況にある者」と書いてあるんですね、法律上は…民法7条に。
僕らよく「事理弁識能力」物事のことわりを弁識する能力が欠ける者は「禁治産者」、それが色んな理由で著しく怠っている人を「準禁治産者」と言いまして、昔からある制度だったんです。この人たちは、家を守ると同時に本人も守っていかなくちゃいけないもんですから。
ところが、「禁治産者」という名前が差別的な用語じゃないかってのと、それから、家単位の財産とかって気持ちが、旧民法と違ってなくなりましたから。それで出てきたのが、この「成年後見制度」っていうので、まだ10年ちょっとしかないもんですから、まだまだ新しい制度なんですね。
ただ、結構これが利用されてるのは、まず高齢化してきたってことですね。それから、お年寄りは財産があるんですよ。未成年も法律上の能力がないってことは、この前話したのと同じように、未成年の場合は基本的にお金が無いじゃないですか。ところが、お年寄りの場合は長年御苦労されて貯めた財産があるもんだから、そして、狙われたりするもんだから、特に高齢者を中心に「成年後見制度」ってのが導入されたりすることがあります。が、基本は同じです。
要するに、精神上の障害により、歳をとったからといってすぐじゃないんですけど ─ 例えば、認知症なんかだと精神上の障害ですよね。
上柳このご相談にもありますね、認知症。
白川ですから、一応この人の場合「成年後見人」をつけるかどうかというのは、医師の鑑定をしたうえで、この人は精神上の障害があるから、放っておいたんでは財産等が失ったり、人に騙されたりするからというので、非成年後見人に指定をすると。こういう制度があります。そしてですね、程度は色々あるもんですかね、事理弁識能力にも ─ もう全然出来ない人と、割と劣っている人と。ですから、一番重たい人の場合は、後見という方式であるんです。
上柳かわりに全部やってあげますってことですかね。
白川そうですね、後見人を付けると。補佐というのは、もうちょっと昔の「準禁治産者」にあたる場合は、補佐制度でつけると。それよりもうちょっと軽い場合は、補助という。こんなようなんですね。
上柳なるほど。
白川ただですね。実際物事を弁識する能力がなくなった場合に後見人を付けるってことですから、自分がおかしいかどうかも判断できないわけですね。
上柳まぁそうなりますよね。
そうなっちゃいますよね。
白川本当は、多くの人たちが望むのは、それを裁判所が決めるんです、後見人付けるかどうかってのは。ただ、自分がそうなることは誰でも、人間ぼけてくることはあると思うから、自分が健全なうちに、もし私がそういう風になったら、同じような制度に ─ 別に裁判所じゃないけども、俺はあなたに委ねるから、そういうことをやってくれってのを「任意後見」といいます。
上柳「任意後見」…
白川上の方は裁判所が認定して精神上の障害があるから、じゃあこれは法律上の後見人をつけましょうというというのが「法定後見人」。これは家庭裁判所でやるんですが、「任意後見」というのは、あくまでも自分がそうなった場合に誰かに頼むと。
上柳「元気なうちにあんたに頼む、あんたのこと信頼してるから頼むよ」っていう。
白川ただそれは非常に大事なことですから、しかも普通の契約と違って、それだけは公正証書で ─ 遺言と同じで大事なことだから。
上柳「俺、言われたもん!」じゃダメですよね。
白川単なる紙に書いたんじゃダメで、公正証書でちゃんと頼む、と。そして、本当に事理弁識能力がなくなった場合は、その後見人に指定された人は、自分が変なことしないために、私の事を監督してくれっていう「後見監督人」を、家庭裁判所に申し立てると。
上柳おー、そういうのがあるんですか!
白川ですから、実際上は裁判所じゃないけど「後見監督人」を認めてくださいってかたちで誰かを立ててもらって、裁判所は、その後見人等から聞いて、変なことがなされないようにする、と。
上柳「勝手に財産を処分とかしないでねって」のをちゃんとチェックすると。
白川そうなんですね。そういう風に、かなり手続き上はしっかり出来てるんですが、まだ何分にも歴史が無いもんですから…。今後は、増えてくるでしょうね。
上柳でしょうねー。
白川というのは、介護サービスというのは、サービスということで一番重く … 介護サービス1とかいう認定がありますよね。かなり、国からも出るんですけども、全部出るわけではないから、足らない場合じゃあ足してよという場合は、私の財産の中から出して私の面倒を見てね、と。ですから、いわゆる介護とこの後見制度は、車の両輪じゃないかと言われています。
上柳そうですね。要するに、通帳なり印鑑は預けて、足らない分は頼むねっていう人を、自分が元気のうちに決めておいて、さらにまた、それを管理する人も決めなきゃいけない。でも、これは知っておかなきゃいけない制度ですね。
白川そうですね。まだあまり普及されていませんが、今後は非常に必要になってくる制度だと思います。
上柳今日また勉強になりましたね。「成年後見制度」というものがある。そして「法定後見」とか「任意後見」というものがある。
自分の老後、もし心配だな、自分の財産はと思ったらこういう制度があるってことをちょっと頭の隅に置いておいてください。白川弁護士、今日もありがとうございました。
白川ありがとうございました。
堀・
増山
ありがとうございました。

上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー / 堀ちえみ氏 = タレント曜日パートナー (文中敬称略) | 第10回 | TOP[t] | 第12回

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