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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2011年4月19日 火曜日 (第12回)
テーマ 「債務整理の方法とメリット・デメリット」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | 「ごごばん!法律クリニック」ですね。スタジオには白川勝彦法律事務所・白川勝彦弁護士にご登場頂いております。宜しくお願い致します。 |
白川 | 宜しくどうぞお願い致します。 |
堀・ 増山 | 宜しくお願い致します。 |
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | さっそく今日の相談内容をご紹介いたしましょう。今日は板橋区の匿名希望、男性の方からの切実な相談メールでございます。 |
増山 | 銀行や消費者金融からの借り入れ、また友人からの借金などが500万円くらいになり、債務整理を考えています。月々の収入は28万円程度なのですが住宅ローンなどもあり、返済するのが厳しくなっています。債務整理には自己破産や民事再生という方法があると聞きますが、具体的にはどんな方法なんでしょうか? どんな違いがあるんでしょうか? メリットやデメリットを教えて下さい。 |
上柳 | 白川さん、債務整理ってものすごく最近よく聞く言葉なんですけども…内実、よく分かってないところもあるんですが。 |
白川 | ラジオをお聞きの方にも、この方と同じような、額は違っても同じような悩みを持っておられる方、けっこういらっしゃるんじゃないでしょうか? 私が、こういう借金の問題に悩んでいる人に、毎日10人近く相談とかいろいろ打ち合わせをしたりして ─ じゃあ実際、どうやって債務整理をしていくかということを、毎日しております。 |
上柳 | そうですかぁ… |
白川 | それが、弁護士の私の一番主な仕事なんですね。 ところで、『債務整理とはどういうのがありますか』という質問がありますが、大きくいって、我々が言っている「任意整理」という方法と「自己破産」という方法と … あまり知られてないのですが、この方ご存知のようですが「民事再生」という、3つがあります。それぞれの違いは、またおいおいで話をしようと思うのですが。私は、結論から申しますと、この方の場合でしたら、もっと詳しく聞かないと、何とも言えないんです。が、「民事再生」を中心に、この方の借金の悩みを解決していきたいと思っています。 具体的にはですね、住宅ローンがあるということですので、それは契約通りに返していく、と。ところが、この500万が、たぶんちょっときついのじゃないでしょうか。だから、この500万を100万にしてもらうという手続きが、「民事再生」というのです。 その、民事再生の一部ですがね、そうすると500万を100万にしてもらえば、かなり返済は楽になりますね。100万円返せば、残りは逆に免除してもらえるというのが、「民事再生」という手続きなんです。 ですから、私は、この方の場合だったら「民事再生」の道がないだろうかってのを中心に考えて ─ だから「自己破産」というところにいかなくても、たぶんいいだろうと思います。もう今、債務整理というと「自己破産」という方が多いんですね。 ところで、上柳さんは破産っていう言葉は知ってますね? かなり昔から。 |
上柳 | 破産…えぇ。 |
白川 | たぶん、破産って言葉を知らない方は、聴取者の中でもいらっしゃらないと思うのですが。破産とは、ところでなんでしょうか? …改めて聞きますが。 |
堀 | 全財産を、もう、何もかもいらないって、借りてたお金も、持ってる持ち物も、すべて手放して降参状態です。 |
上柳 | 丸裸になっちゃう。 |
堀 | そう、丸裸ですね。 |
白川 | 堀さんが、かなりいいことを言っているんじゃないかな。正確に言いますと、結局、借金がいっぱいだと金を貸した人は取り立てますよね? だから、早い者勝ちとか強引に取る人だけ取っちゃって、残りの人は取れなくなるってことがあるじゃないですか。そういうことを防止するために裁判所が入って、「もうそれはダメよ」と。「その方が持っている財産を平等に債権者に払いますよ」という手続きが、破産なんですよ。 |
上柳 | なるほど、なるほど。裁判所が入るんですね。 |
白川 | 裁判所が入って。だからもう債務は平等に払います、と。 |
上柳 | 資産全部押さえられちゃって。裁判所が分けますから。「勝手に取っていかないでよっ」ていう… |
白川 | そういうことです。それが、破産で一番大事なことです。そうしないと、早い者勝ちとか強引に持っていっちゃうじゃないですか。ですので、そういうことなんですが。 ところが、普通破産する場合、個人の場合はほとんど財産らしい財産が無いという方もいらっしゃいますよね。そうすると、結局借金をチャラにしていただきたいというのを破産みたいに捉える方が多いのですが、実は違うんですね。だから、財産があったりすればわかるでしょ? 全額は返せないけども、例えば1割くらい返せるんだったら、すぐに「1割でも0よりはいいから平等に返します」というのが、破産手続きなんですよね。 |
上柳 | なるほど。 |
白川 | ただ、配当にまわすべき財産が無い人の場合は、破産の申し立てしても配当するものが無いんだから、それで破産手続きはとりあえず終了します。それは同時廃止と呼ばれているのですが…そんなことはどうでもいいんですが ─ 但し、それはそこまでですから、「あなたの借金は返さなくてもいいですよ」ということにはならないわけですね。それは裁判官が個別に判断して、「この借金はもう、貴方の場合は国が払わんでもいいように免責してあげます」と。それを免責手続きと言います。 もちろん、税金とか健康保険税というのは、あれは債務じゃありませんから、これは、国家が免除するわけにはいきません。ただ、実際上、税務署とかとれなかったら、事実上取りたてないということであって…。 ところが、不法行為に基づく損害賠償──例えば犯罪で人に害を与えたとかいう、それは、破産したからといったって、裁判所はそれを免除することはできません。やっぱりそれは、裁判所が0にするわけにはいきません。例えば、よく最近あるのですが、不貞行為によって離婚したりして、慰謝料がありますよね。それも不法行為ですから。ですから、それは免除するわけにはいきません。 |
上柳 | 破産しても、それはちゃんと元の奥さんに払いなさい、と… |
白川 | そうですね。よく聞かれるんですが … 自己破産のメリット・デメリットってなんですか? と言われるんですね。メリットは…借金全額を返さなくていいですから、メリットといえばメリットでしょうかね。別に、金が返ってくるわけじゃない。払う義務からは一応免除される、と。 デメリットと言われるんですがね、官報という…どうですか? 今まで官報とかって見た事あります? 写真も何もない、字ばっかり。それに載せられるくらいの話ですが、それが周りの人に見られることは、めったにないでしょう。 それ以外の法律上のデメリットは、選挙権、資格がなくなるとかっていうのは、弁護士だとか司法書士だとかそういう人以外はありませんから、普通の人の場合は、ほとんどありません。ただ私は…破産というのはみんな知ってますよね? 破産したというのは、決して良いイメージじゃないじゃないですか? だから、借金は0にはなるけれども、だけどもそんなに簡単なことじゃないよ、と。 ですから、この方の場合、民事再生という手続きをする時は住宅ローンだけは別にするという、ちょっと特例なんですよね、使ったりしなきゃいけないもんですから、ちょっと手続きは難しいんですけども、私は、そう簡単に破産をしないことを一生懸命考えます。 まず、家を取られますからね。 |
堀 | また今度仕事を始めようと思っても、お金を借入出来なかったり… |
白川 | それは別に破産しなくても、今はもう債務整理をしたりすると、信用情報センターというところに載りますから、あまり借りられませんけどもね。 |
上柳 | 民事再生というのは、借金がチャラになるってこと…? |
白川 | だから、さっき言った通り、大幅に減額されるんです。 |
上柳 | 減額…それは、裁判所がやるのですか? 「もう、この人はこれだけしか支払能力がないんだから…もうあなたの所に返せるのは、これで我慢しなさい」と。 |
白川 | 債権者の意向も、一応聞きますけどね。 |
上柳 | 500万円が、頑張って100万円… |
白川 | 小規模民事再生というのが、この人の場合 ─ ほとんどの人がそれに該当するのですが、その場合、500万を100万だけ返せばいいんですから。だいたい返せる額になるのですよ。 |
上柳 | なるほど。わけもわからずこの借金どうしようとうろたえるよりは、ちゃんと相談した方が、色んな方法があると。 |
白川 | すぐ破産という風に考えない方がいいと。色んな道がありますから。 |
上柳 | なるほど、なるほど。ということで、今日も白川弁護士に色々とお話を伺いました。また来週、よろしくお願いします。 |
白川 | 宜しくどうぞお願い致します。 |
堀・ 増山 | ありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー / 堀ちえみ氏 = タレント曜日パートナー (文中敬称略) | 第11回 | TOP[t] | 第13回