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白川・上柳 放送対談中の表情写真

ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2011年7月26日 火曜日 (第25回)

テーマ
「離婚も『両性の合意』で成立」

話者名話の内容
伊藤ラジオの前のみなさんの法律の問題について、お話を伺う「ごごばん! 法律クリニック」。スタジオには、白川勝彦法律事務所の白川勝彦弁護士にいらっしゃっていただいております。はじめまして。宜しくお願いします。
白川宜しくどうぞ。
堀・
増山
宜しくお願い致します。
話者名話の内容
伊藤それではですね、早速、今日の相談内容を増山さんから紹介していただけますでしょうか。
増山今日は、45歳の匿名女性からのメールです。
私は、借金や浮気などが原因ではないのですが、数年前から主人に愛情を感じられなくなり、漠然と離婚を考え始めるようになりました。しかし、私から離婚を切り出すと、明確な原因があるわけでもなく、慰謝料などをもらえないのではないかと思っています。専業主婦だったので、突然の離婚で収入がなくなるのも困ります。なんとなくというような理由では、離婚理由にはならないのでしょうか。そういう場合でも、慰謝料や財産分与などは請求できるのですか。
ということですが、いかがでしょう、白川弁護士。
白川昔、48歳の抵抗という、非常に有名になった映画がありましたけども…… 最近は、熟年離婚が増えてるみたいですね。意外に、こういうのが多いんじゃないでしょうかね。
伊藤そういうもんなんですか?
白川意外に多いんだと思いますよ。私も、結婚して今年でちょうど30年になるんですが… 決しておしどり夫婦なんて言われるようなことでもありませんでしたが、そんなに切った張ったでもなく、結論から言うと、離婚もせずに一応、30年続いております。
結婚というのは、結婚しても色々と後悔したり反省したり。しなかったらしなかったで、後悔したり反省する。私は、そんなもんじゃないかと、いつも思ってるんです。意外に、家内もそう思ってるかも分かりません。
冗談はこのくらいにして、実は私、26歳の時から弁護士をやってるもんですから、離婚の相談はいっぱい受けてきましたし、一番ポピュラーな法律相談の一つなんですね。だけども、僕自身はですね、40年近く弁護士をやってますけども、離婚事件というのは、10件も受けたことはありません。なぜなら、色々な離婚問題というのはどこの家にも絶えないのですが、だからといって我々弁護士が入って離婚させても、あるいは離婚をさせなかったとしても、それで本当に夫婦問題というのは、夫婦が幸せになるのかな? という ── どうも、そういう面では、僕はあきらめがありまして。
結局、家庭に、我々は法律を持ち込んで解決しようって話でしょ。それは、本当の解決にならないんじゃないかなと。だから、できれば、二人で話し合うのが一番じゃないかなと、私は思っているんです。
しかし、どこの国でもやっぱり多くの人は結婚してますし、どこの国でも、夫婦はもめるんでしょうね。もめるもんだから、もめてもめて、ギリギリになった場合はどうしたらいいかということは、どこの国でも法律には書いてあるんですね。わが国ではどうかというと、一番の基本はやっぱり憲法に書いてあります。
憲法24条に『婚姻は、両性の合意のみに基いて、夫婦が同等の権利を有することを基本とし、相互の協力により、維持されなければならない』 ─ ですから、何かがないから … ご主人が「相互の協力」をしてくれなかったり、愛情を感じられなくなってということもあるのかも分かりませんが、基本は、『相互で良い夫婦関係を保つために努力しなさい』ということなんですね。しかし、『相互の協力』の中には、人によって色々見方がありますから。
あの人、若いときに比べたら愛情がなくなった、と。だから、この憲法でいう『相互の協力』は、“夫は協力していないじゃないか”というのが理由になるかというと、そういうのはあまり理由にならないんですね。
ですから、大原則はどういう事かというと、『両性の合意、男女の合意のみにおいて婚姻は成立する』となってますから、婚姻をやめるのを離婚といいますけども、離婚も『両性の合意』があれば、理由はなんでもいいと。
伊藤理由はなんでもいいんですね…
白川要するに、「両性の合意」がすべてだよと。
増山両方が納得すれば、もう理由はどうでもいい。
白川何であろうがいい。そして、慰謝料を払おうが、昔の元の形にして下さいとあるけども、あなたは結婚した時は20歳だったけども、今は45歳だから、今は困るので、そういう理由でお金を払う場合、慰謝料じゃないけどお金を払うと決めてもいいですし。
要するに、夫婦の事は基本、夫婦で決めてくださいと。それに、全面的に国家はそれを認めますよということで、それがダメだとかとは言いませんね。
たまに、子供の親権を定めなくてはならないという、いくつかの制限はありますけども。ただ、“男女が合意しなかった場合どうするか”という時に、初めて法律が出てくるわけです。ですから、協議離婚外のことを協議離婚と言ってますけども、二人で離婚についての合意が出来なかった場合でも、場合によったら離婚できる場合がある、と。それを、裁判上の離婚といいまして、これは民法770条に、極めて具体的に書いてあります。増山さん、ちょっと読んでくれますか。
増山
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
白川1から4までは、かなり具体的ですね。ただ、不貞行為というのもなかなか、証拠で持って明らかにするとそんなに簡単じゃない。ただ、それ以外は比較的明らかですが、殆どの離婚事件というのは、第5条『その他、婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』というようなことで争われることが、すごく多いんですね。
ただ、これは非常に相対的で、最近は広い範囲で認められるようになったことは事実です。
最後に、時間がなくなってきたようなので… それにしても、なんとなく、この人の場合は難しいかなと思いますけども …… 慰謝料とか財産分与とか、金目の話が出てきたので、ちょっとこれだけ触れますが。
慰謝料というのは、離婚に至らしめるような原因を作った人、有責配偶者が相手方に払うお金ですね。一方、財産分与というのはですね、夫婦が共同して作った財産を離婚するんだから、それをどう分けるかという話です。一種の清算なんです。殆どの人は、収入はご主人からしかないというんですが、家事労働っていうのも立派な仕事ですからね。例えばお手伝いさんを頼めばお金かかるでしょ。
というようなことで、だいたい半々、と。普通の場合、それが基本です。
増山なるほど、よくわかりました。お互いの合意があってということですね。白川弁護士でした、どうもありがとうございました。
伊藤ありがとうございました。
白川ありがとうございました。

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