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白川勝彦の 前向きライフ 2012年12月23日 日曜日 (第2回)
話者名 | 話の内容 |
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白川 | みなさん、こんばんは。白川勝彦です。 |
増山 | こんばんは。ニッポン放送の、増山さやかです。お休みの夜、いかがお過ごしでしょうか。「白川勝彦の前向きライフ」 ── この番組は、白川勝彦法律事務所・所長で、弁護士歴40年の白川勝彦さんと一緒に過ごす60分です。様々な苦難を前向きに乗り越えてきた白川さんの経験談から、人生を前向きに過ごすヒントについて、考えていきたいと思います。白川さん、どうぞ宜しくお願い致します。 |
白川 | こちらこそ、どうぞ宜しくお願い致します。 |
話者名 | 話の内容 |
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増山 | 前回11月に放送をさせていただいて、今回が2回目になりますけれども … メールを募集したじゃないですか。そしたら、たくさん頂きまして。白川さんへの質問を、ご紹介させていただきたいのですが … 横須賀市にお住まいの、タカトシさん。40歳の会社員の方です。「弁護士の方って、仕事柄、相当ストレスのたまる仕事だと思いますが、白川先生の場合、ストレスの発散ってどうしているんですか?」と。 |
白川 | そうですね、あんまりストレスがたまるタイプじゃないですね。 |
増山 | そうなんですか? |
白川 | やっぱり、政治家というのは、もっとストレスがたまる仕事でしたから。それに比べれば…と言ったら失礼ですけど、あえてストレスがたまってどうしようもない、という仕事じゃないですね。 |
増山 | 逆に、一つ一つストレスを全部ためていってしまうと、大変なことになっちゃうんですね。 もうひとつ、ご紹介しましょう。練馬区の、トキコさん。58歳の奥様です。 「白川弁護士のことは、自治大臣の時代から知っています。ホームページなどでお顔を拝見すると、若々しいですよね。剛腕弁護士という感じです。何か、特別な健康法や、トレーニングをされているのでしょうか?」 |
白川 | 最近は、全然ダメです。その結果、体重が増えているんですが、かつては、結構運動はしていました。 |
増山 | 例えば、どんな運動ですか? |
白川 | 国会議員会館の中にも、議員さんや秘書さんのジムがありまして。週1〜2回は、行って何かはしていました。 |
増山 | 筋力トレーニングみたいな? |
白川 | そういうことを含めて。それから、もう一つは … とにかく、歩きました。 |
増山 | いいですよね、体にね。 |
白川 | さっき、ダメですといったのは … 歩かなくなっちゃったんです。体重が増えると、歩くことが、だんだん億劫になりまして。 |
増山 | 体が重くなって。 |
白川 | それで、結局、車だけで移動すると、ますます酷くなって。だけど、そういうことを言っていられないから、もうちょっと歩くことだな、と。それが一番だと思います。 |
増山 | 階段の上り下りだけでも、増やしてみると違うかもしれない。 |
白川 | それが、キツいんです。普通の歩きだけでも、結構ばかにならないんです。 |
増山 | でも、「とても若々しいですよね」というメールを頂きました。ありがとうございます。今日は、番組に寄せられた債務整理に関する質問にお答え頂きますが、白川さんと一緒に、2012年を振り返ってもいきたいと思います。どうぞ、最後までよろしくお願い致します。 |
白川 | こちらこそ、宜しくお願い致します。 |
増山 | では、まず1曲お送りしましょう。ドリフターズです。ラストダンスは私に。 |
(♪) | |
(CM) | |
白川 | 改めまして、こんばんは。白川勝彦です。 |
増山 | ニッポン放送の、増山さやかです。この時間は「白川勝彦の前向きライフ」。白川勝彦法律事務所・所長の白川勝彦さんと一緒に、人生を楽しく前向きに過ごすためのヒントについて、お話ししていきます。 2012年も、もう少しで幕を閉じますけれども、今日は、白川さんが今年気になった話題を、振り返っていきたいと思います。 まずは、コチラ。「年の瀬の衆議院選挙、自民党が圧勝」。ちょうど、先週の日曜日に行われた総選挙ですが、3年3ヶ月続いた民主党政権が終わり、自民党の圧勝になりました。 白川さんは、国会議員として自治大臣を務められていた時期もありましたが、今回の総選挙の結果は、どうご覧になりましたか? |
白川 | なかなか、複雑な思いがありますね。 長い人生の中で、今回の総選挙ほど引いて見ていたことはないですね。と、いうのは、だいたいこういう結果になることは、分かりきってましたから。私は、こういう結果は望んでいなかったから。こうなるのが分かりきったから、もう、引いて見ざるをえなかったですね。 |
増山 | 結果も、もうこうなるだろうと。 白川さんが、特に気になっているというのが、3党合意の行方ということですけども。今年の6月に、民主・自民・公明の3党が、消費税増税などで合意。このときに、「近いうちに解散」なんて、発言が出たわけですよね。今回の衆院選につながっていったわけですが… |
白川 | 今回、民主党だけでなくて、かつて民主党に居た人を含めて、大惨敗しましたよね。その理由は、前回の選挙で、鳩山さんなり、マニフェストでは少なくても前回の選挙から4年間は消費税は上げませんと、はっきりと言ってきたんですよね。それを、結局上げたんですから、それはやっぱり、やっちゃいけないことなんですよ。 長い間政治の世界にいましたけど、こういう風なことをやりたいと言って、一生懸命頑張ったけども出来なかったことって、ありますよ。世間というのは、ちゃんとそういうのは分かるんですよね。やりたくても、懸命に頑張ったけども、残念ながらできなかったというのはあるけども。これは、「少なくても4年間はやりません」ということをやったら、それはやっぱり、世間は黙ってないです。 |
増山 | マニフェストの意味がなくなっちゃいますもんね。 |
白川 | それが一番。最大の理由だったと思いますね。 それから、もうひとつ、僕がいけないと思いましたのが、言うならば、国会の中の3親分衆ですよね。親分衆がなんだか知らないけど、私に言わせれば、談合して、消費税を5%を10%にしましょう、と。こういう風に決めちゃって、やったわけですよね。他の野党なんて、出る幕がなかったですよ。 これは、ちょっと大きく言いますと、野党第1党と第2党で、ある政策に全く違う意見を持っていた人が、急にやりましょうということは、戦後の歴史の中でないです。やはり、国民の中で意見が分かれることについては、一方はこうやりたい。それに対して、私たちはこうやりたいという形でやってきたんですね。 だから、消費税の問題だって、もともと自民党は、消費税3%導入する時も、10年くらい前から、消費税は3%にしてもらいたいと言ってました。それに対して、社会党はじめ野党は一貫して「反対だ」と。それで、何度も何度も激しい選挙をやりまして、自民党が選挙で勝ったから、「国民の信用を受けたんだ」と。 5%の時も、そうなんですよ。実際決めたのは、村山内閣の時なんですが、その時も ─ 平成8年の選挙ですけど、自民党は、「5%にします」と。新進党は、「3%のまま据え置き」と。共産党は0、ということも、ちゃんと主張しあった上で、「5%にします」といった、自民党、社民党が勝った上で、5%になったんです。 今回は、第1党の民主党と自民党と公明党が「10%にします」と。他の野党なんて、出る幕なかったですよ。決めちゃった後に、選挙というんだから。 もちろん、それはそれで、大きな争点になったんだけど、3党だけで決めたって、結局、国民が反対すれば良かったわけです。 けど、争点がそこだけに絞られなかったですよね。原発だ、TTPだ、景気回復だ … 色んなところに、どんどんいって。 私は、今回は「あえて問題を散らしたな」と。 それから、12党も党が出てきて …… ただ、12党の内の、例えば、田中康夫さんが出てる。確かに、政党の党首ではありますけど、あの人は、兵庫から出ているだけで、近畿ブロックの比例代表にも出ていない人なんですよね。田中さんとか、新党日本に投票しようがない人も、「一人ですよ」と。 あるいは、新党大地の鈴木さんも、北海道では出てるけど、北海道以外のところには投票しようがないし、入れようもないわけですね。その人たちも、全国に候補者をたてる党と一緒にしちゃう、と。だから、投票するなら、意見聞いてみたいと分かるけど、投票しようがない人も、一つの政党だからみんな出す、と。舛添さんが党首をやっていた新党改革なんかも、そうじゃないかな? 確か、二位候補しか出してないんです。それも、みんな一緒と。こういうことを含めて、放送コードみたいなものがいるんじゃないでしょうか、本当は。そういうものも、無かったですね。 |
増山 | 今のままで行くと、このまま増税へと進んでいくことになるんでしょうかね? |
白川 | たぶん、そうでしょう。ふと、見たんですが、消費税が実際10%になるのは、いつからだと思います? |
増山 | 近い将来ですか? |
白川 | 2015年の10月からなんですよ。今から、約3年後です。衆議院の任期が、3年から4年の間です。本当に10%になる時に、さて、やれるかという問題は出てくるかもわかりませんけど…。よほど、国民が問題意識を持たないとダメでしょうね。 |
増山 | このままいくかもしれないですよね。お知らせの後、引き続き今年の出来事について、白川さんと振り返ります。 |
(CM) | |
増山 | 白川勝彦の「前向きライフ」。 今日は、白川さんと、2012年の出来事を振り返っています。続いては、こちらです。 「東日本大震災から1年9ヶ月。景気回復は?」 2011年3月11日に東日本大震災が発生してから、1年9ヶ月。被災地の復興、そして、景気回復は、日本にとって大きな課題になっています。 白川さんは、これまでの被災地の復興・景気回復を、どのようにご覧になっていますか? |
白川 | 私は、阪神淡路大震災の時に、商工常任委員長というのをやっていまして、何度も阪神の方に足を運びました。 それから、中越地震の時は、そこに住んでましたから、かなり知っているんですけど …… かれこれ2年になろうというのに… 阪神淡路大震災も中越地震も、2年目くらいからはだいぶ、復興も「めどが立ち始めたかな」と、いう感じでした。それに対して、今回の場合は、明らかに遅れていますね。 ただ、これは「民主党だけのせいだ」なんて言うつもりは、ないんです。と、いうのは、今回の東日本大震災の本当に大きな被害を受けた所は、津波だったんですよね。今までは、とにかく震災の被害にあった所に家を作りなおせばよかったという形なんですが、今回の場合は、はたして、そこに昔のように作りなおしていいのか、と、かなり大問題があるわけです。 被害が大きかったこともあるんですけど、そういう意味で、単に民主党のせいだけとは言いません。が、それにしても、やはり全体として見たら、震災に対する対応がなんとなくしっかりしていなかったというのは、事実です。仮設住宅というのは、何年まで住めるか、知っています? 大勢の人が、まだ仮設住宅に住んでいるわけでしょ? |
増山 | いつまでなんですか? |
白川 | 仮設住宅というのは、3年間と決まってるんです。だから、3年後には「出て行って下さい」と。阪神淡路大震災の時も中越地震の時も、これは例外がなかったです。 あと1年2〜3ヶ月で、今回東日本で仮設住宅に住まれている方は、はたしてそこを出られるか? ─ 大いに疑問ですね。 それはそれで、いいんです。事情が事情だから。だから、仮設住宅は3年という大原則は、場合によったら変わる可能性がある。また、変えていいと思うんです。だって、新しく作り直したくても、新しく作れるところで、また津波がきたらどうするかという問題がありますから。 高台移転とかありますから、そういうのが … よく考えてみたら、何も3年間とする必要はないと思うんです。 さて、それにしても、やはり、頭に来るのは ─ 「震災」ということで、復興予算、つきましたよね。そのうち、2兆円くらいが、東北には関係ない所に使われた、と… |
増山 | これは、腹立たしいですよね。 |
白川 | あれは、みんな怒ったと思うんです。 ところで、東日本大震災を何とかするために増税をした、というのが、当時ニュースになりましたが、覚えていますか? いくら、どのくらい払うか覚えてますか? |
増山 | 覚えてないですね。 |
白川 | 今年の、今度給料をもらう時から、今まで所得税が引かれていたでしょ? そこに、復興特別所得税というのがつきますから … 2.1%。今までの所得税というのは、源泉徴収票に書いてあったでしょ? それとは別に、2.1%、復興特別所得税というのが、毎月取られますよ。何年間取られると思います? 25年間。 |
増山 | そんなに長い間なんですね。 |
白川 | だから、増山さんがもし、ずっと勤めていたとしたら、かなりの歳になるまで。 それで、大被害を受けた東日本大震災の金の心配がないようにしよう、と。これは、超党派で決めたと思うんですが、その税金の一部として計上した中から2兆円も持っていったというのは、これは、政治家がたるんでいたのか、役人があまりにもずうずうしすぎるのか分かりませんが、僕は、これは許せないと思いますよ。本来なら、使ったやつを返してくれという話ですよね。 |
増山 | 返すということは、ないんですかね? |
白川 | 日本では、あまりないですね。 それから、25年間給料をもらっている人には毎月復興特別所得税というのが付くんだけど、5年も経つと「これ、なんで引かれるんだったかな?」と、忘れちゃう人が多いんじゃないでしょうかね。10年経つと「これなんで取られるのかな?」と。でも、間違いなく25年、所得税プラスオンして、2.1%、特別所得税というのが引かれるんですよ。 |
増山 | それだけ長く引かれるんだとしたら、ちゃんと、使い道をきちっとしてね。 |
白川 | 今回、2兆円をとんでもない所で使ったというのは、許せないですね。 |
増山 | 景気回復というのは、これからみなさんが望んでいることだと思いますが、どんな風にはかっていけばいいとお考えですか? |
白川 | 復興をちゃんとやるということも、景気対策の一つなんです。これを無駄だと言う人は、誰もいないと思います ─ 日本国民の中で。 だから、全体的に見たら、東北というのは景気が上向きという評価がされているのは、これを使っているからなんです。 さて、それ以外に自民党が勝って「景気をよくするんだ」と、こう言ってますけどね。自由主義社会において、景気を良くすると言うのが、一番難しい仕事なんですね。社会主義社会なら、経済全体は国がやっていますから、いいんですが、自由主義社会というのは、国が何も経済やっているわけじゃないですから。ただ、お手伝いは出来るんだけども ─ 景気刺激策なんかをやって。景気刺激策をやりたくても、今までそういうことをやってきたために、なんだかんだと、一千兆円の国債なんかがたまっているから、もう、やりたくても本当はやれないんです。それも大問題だといいながら、さらに景気を良くするために、とにかくなんでもいいから、どんどん政府は仕事をやれといっても、そう言うほど話は簡単じゃないですね … みんな望んでいると思いますけど、自由主義社会では、政府が景気を良くしますといっても、それが一番難しいんだということを、よく知っていてもらいたい、と。日本の場合、借金も大体ここまできましたから、大変だと思います。 |
増山 | 心して生活しないといけないですね。 続きまして、こちらの話題にいきましょう。 「ロンドンオリンピック、日本のメダル数は史上最高の38個」 今年の夏に行われた、ロンドンオリンピック。日本は金7個、銀14個、銅17個と、過去最高となる、合わせて38個のメダルを獲得しました。これは、景気の低迷があるなか、暗いニュースの多かった中、明るいニュースで、なんとなく弾みましたよね。白川さん、特に印象に残っている競技ですとか、選手はいらっしゃいますか? |
白川 | 僕はあまり、何個取ったとかには、昔から興味はなかったんです。やはり、オリンピックというのは人類の祭典であって、国と国とが勝った負けたというものじゃないと、もともと思っていますから。ですから、言われてみて、東京オリンピックよりも多かったんですか、と。東京オリンピックが一番だったと思ったんで、違うんですね。 それから、種目が増えましたよね。なんでこんなものがオリンピックの種目なのか、と。だから、メダルそのものが増えたから、全体が増えたから、そういうこともあるかもわかりませんね。 しかし、その中で、前からいった通り、オリンピックというのは人類の祭典だという気持ちだったから、やはり、国がどうこうというより、個々の選手に関心がいきますね。 |
増山 | 感動されたシーンはありますか? |
白川 | やはり、今回はボルトでしたね。僕だけじゃなくて、皆さんいったけど、特に、オリンピックの前に … NHKか何かでやっていたのかな? ボルトって、病気持っているんですよね ─ 脊髄側湾症という。あきらかに、背骨が曲がっているんです。 |
増山 | そうなんですか。 |
白川 | そういうなかで、彼も、まるっきり生まれながらの天才かと思ったら、そうでなくて。陸上選手としては、大変な障害を持っているんだけど、それを、あらゆる努力をして、やっと乗り越えて、2連覇したんですね。 |
増山 | リスクがあるなかで、努力をしていたんですね。 |
白川 | ものすごい努力したんですね。それから、良い指導者もいて。そういうことで、ウサイン・ボルトが100m、200mで優勝したというのが、感激しましたね。 オリンピックというと、100mとマラソンに人気があるんだけど ─ どうも最近は、日本女子のマラソンがつまらなくなったせいか、マラソンは誰が優勝したかも知らないけど、昔から、陸上では100m・200mですね。なかには、マイケル・ジョンソンなんて400mの選手もいましたね。 やはり、オリンピックの中で僕が一番好きなのは、陸上ですね。僕は、全然ダメなんですよ。足は弱いんです。昔から、競争はダメだったんですよ。 |
増山 | じゃあ、憧れとしてもいいな、という感じですかね。 |
白川 | それよりも、一つの、人類の挑戦なんでしょうね。 |
増山 | オリンピックといいますと、都知事選がありましたけど。猪瀬さんが当選ということで、やはり、石原さんの意思を継いで、オリンピックをこの東京に、招致を推進していくんですよね。 |
白川 | どうなるかわかりませんが、やれるのであれば、やってもいいし。 しかし、そんなに、国威発揚だとかお大騒ぎするという話でもないのかなと。 たしか、有力な対抗馬として、中東のどこかが立候補しているんですよね。あの辺で、まだ一度もやったことがないから、その辺ということになるのかな。 それにしても、別に前回だってダメはダメだったんだけど、まんざらダメでなかったようですし。東京でやれることになったら、それはそれでいいと思います。 |
増山 | 何が何でもというのではなく… |
白川 | 昔の東京オリンピックの誘致みたいに、国を挙げての課題と言うほどでもないかなと思います。 それから、北島康介。彼は、3連覇になるかということでしたけど … 今回も取れませんでしたけど、もう2連覇しているわけでしょ? 今回も、ちゃんと決勝に残ったじゃないですか。決勝に出ているということは、三回目ということは、丸々8年ありますよね。最初だって、いきなり出れるわけじゃないから。北島康介は、10年間、平泳ぎの100m・200mで、世界のトップで居たことって、それはそれで、すごい立派なことだな、と。取れませんでしたけどね。 |
増山 | それを維持することが、難しいですよね。 |
白川 | 世界の水泳の厳しい中で、10年間ナンバーワンになったのだから、すごく思い出があっても、いいんじゃないかなと思いますけど。ですから、彼が入ったメドレーリレーでは、3位かな。 |
増山 | 手ぶらで返すわけにはいかない、という、ね… |
白川 | ちょっと泣けたね。増山さんは、特に印象に残ったものは? |
増山 | 私は、卓球の福原愛ちゃんと、石川さんと平野さんの … あれを見たときは、ちょっとウルっときましたね。 |
白川 | 愛ちゃんも、小さい時から知っているけど、だいぶお姉ちゃんになったからね。初めてなんでしょ? オリンピックで取ったのは。他にはどうですか? |
増山 | 他には、三宅宏美さんの重量挙げ。あれは、同性として見ていてすごいなというのはありましたけど。日本人初ですからね。 |
白川 | 昔、日本男子ですけど、重量挙げって、得意種目だったんですよ。だから、三宅さんのお父さん、良く知っています。すごく、日本の得意種目だったんです。久々にお父さんの顔を見て、「いたなー」と思いましたね。 |
増山 | 色々な感動を与えてくれたロンドンオリンピックですけど、2012年の出来事、白川さんと一緒に振り返りました。では、ここで1曲お送りしましょう。デズリーで、ユー・ガッタ・ビー。 |
(♪) | |
(CM) | |
白川 | 「白川勝彦 ラジオ永田町徒然草」 |
増山 | このコーナーは、自治大臣として国会で活動され、現在は剛腕弁護士として活動されている白川さんに、国会や政治、社会について思うことを、徒然なるままに語っていただくコーナーです。よろしくお願い致します。 |
白川 | こちらこそ、よろしくお願いします。 |
増山 | 今日は、2012年を振り返るにあたりまして、白川さんがどうしてもひと言言っておきたいという出来事を取り上げます。 それは、1997年に発生した「東電OL殺人事件」と言われる殺人事件。15年間、犯人として拘束されたネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさんが、今年11月に無罪になったという問題です。現在、マイナリさんはネパールに帰国され、ご家族で過ごされておりますが、この問題は、日本の警察・検察に大きな疑問を残す結果となりました。白川さん、どのように思われていますか? |
白川 | 裁判の話題ですが、私も弁護士ですから ─ 現在は、債務整理を中心とした仕事に殆ど全力を費やしていますが ─ 僕はやはり、刑事事件というのは、非常に魅力を感じる。そして、現に事件もやってきましたので、そういう面では、一弁護士としてこの「東電OL殺人事件」、マイナリさんの。今年の法律界の中では、一番印象に残ったことだったんですね。 去年も、同じようなことで大きな話題になった刑事事件、足利事件というのを覚えていませんか? あれが、去年は大ニュースになりましたね。長年無期懲役だった人が、完全無罪になったという。 今年は ─ 他にも同じような問題がないわけじゃないんですが ─ 今年は、「東電OL殺人事件」だと思うんですね。 これは、背景を申し上げますと、事件が起こった現場というのが、渋谷駅の近くで。僕は学生時代、東大は駒場ですから、あの辺は良くブラブラしていたもんですから。そういう意味では、僕の土地勘のある地域だったところですね。東電のエリート女子社員が殺されたということで、当時、ずいぶん週刊誌等で騒がれていましたので、元々関心を持っていたんですが、その頃から、ゴビンダが捕まって、ただし、無罪を主張するというのは知っていましたけど、その当時、僕は政治家だったので、あんまり深くフォローしなかったんですね。 それが、今年になって再審決定になりそうだという話になり、僕も、ずっと関心を持っていました。 足利事件もそうですが、この事件も、結局、犯罪捜査上の科学技術が進歩してきたために、「この人は無罪だ」と、証拠上も言えるようになったんです。と、いうことで、科学の進歩なんです。 ただし、同時にそれがあるまでは、最高裁まで含めて有罪だと言われてきたんです ─ ということを、まず考えてもらいたいんです。 今は、あきらかに科学的に無罪だと分かった人が、実は、それが出るまでは有罪として、刑務所で過ごさざるを得なかったという、これが、刑事事件というものの難しさというか、我々が考えてもらいたいんですね。 確かに、社会的には「悲惨な事件が起きた」と。その犯人は、放ったらかしておくわけにはいかない、と。必ず捕まえて、やっぱり、何らかの罰は与えなくてはならないというわけです。それは、まさにみんなが考えることなんですけど、刑事裁判というのは、「この人が、この事件をやったんだ」と。そして、「この人も罰せなくてはいけない」。時には、「死刑にしなくてはいけないんだ」ということを決める手続きが、司法手続きなんですね、刑事事件における。 それで、僕も長年刑事事件をやってきまして、思うことは、どうしても、ここは一般の方には理解できないんですが ─ 「疑わしきは、被告人の利益に」という言葉はご存知ですよね。それは、煎じつめていくと、どういうことかと言うと、「この人がやったのかもしれない。やらなかったのかもしれない。しかし、疑いがあったとしたら、それは被告人に有利なように解釈してあげなさい」というのが、刑事司法の大原則なんです。その根っこには、仮にそういうことを言うと、本当の犯人が罰せられないこともあるかもしれない。それはそれで問題なんだけど、それよりも大事なことは、無実の人が罪をきせられるようなことは、もっといけないことだ、と。だから、そのために、場合によったら「こいつはどうも犯人らしいな」というけども、結局は有罪の判決を下せない場合も、あっても仕方がないんだ、と。それよりも大事なことは、無実の人がいわれなき罪を罰せられることが、もっといけないことだと。これが、長い刑事事件の歴史から導き出された結論なんです。 ただし、一般の方に言わせると、そこがちょっと理解できない、と。だから、それは弁護士が苦労することなんですね。「なんで弁護士は、悪人なのに弁護するんだ」とか言われたりしまして。そんなことでしょうかね。 |
増山 | マイナリさんの場合は、日本から補償はもらえるんですか? |
白川 | それは、いきます。そういうのはニュースになっていませんが、15年間刑務所にいたわけですから、身体的な拘束をされていたことに対する刑事補償法というのがあります。額はまだ計算していませんが、一部では6,800万くらいになるんじゃないかと言われています。これは、僕は早めに払った方がいいと思いますね。 |
増山 | そうですね。 |
白川 | 元々は、マイナリさんの場合は、日本に働きに来たわけですよね。15年間もいて、日本では6,800万円ばかりの補償で済むのかということになるかも分かりませんが、ネパールに行ったら、6,800万円というのはかなりの大金になると思うんです。元々、マイナリさんは家族のために日本に働きに来ていたわけですから、そういう面では、早めにお支払いした方がいいと思います。 |
増山 | 金額で全部が補償されるわけではないですけどね。 |
白川 | それでも、やはり、大勢の家族がいるわけですから。 |
増山 | 分かりました。以上、白川勝彦の「ラジオ永田町徒然草」でした。 |
(CM) | |
白川 | 「白川勝彦 ラジオ法律クリニック」 |
増山 | この時間は「白川勝彦 ラジオ法律クリニック」と題して、弁護士歴40年、白川勝彦弁護士に、皆さんから寄せられた法律相談にお答えいただきます。前回、番組で相談を募集したところ、ラジオをお聞きの方からメールが届きました、そのご相談にお答えいただきます。 江東区にお住まいの51歳の男性の方です。 先日、父に多額の借金があることがわかりました。500万円くらいです。母はすでに他界していて、現段階で、父に返済能力はありません。もちろん、私にもそんなお金はありません。以前、借金があるまま他界するようなことがあると、その借金まで相続することになると聴いたことがあるのですが、本当ですか? 父が生きている間に、できることはありますか? ちなみに、ウチは、男2人兄弟で、わたしは長男です。 |
増山 | …こういったご相談なんですが。借金があるままで他界されてしまう。借金も相続しなくてはいけない。 |
白川 | 借金も財産のうちですから。 |
増山 | この方は、相続しても返済できないと言われていますが。 |
白川 | この人の場合、借金があったとして … 本当に調査してみないと分かりませんけど、仮に500万の法律上の支払い義務があったとしても、お父様が亡くなった場合には、相続放棄という手続きをすれば、それは負う必要はありません。 |
増山 | 相続放棄。 |
白川 | 相続放棄ですね。それは、ご本人の方だけでもできますし、弟さん含めて二人とも相続放棄しますよ、と。 相続放棄というのは、この場合でしたら、お父様が亡くなってから三ヶ月以内に家庭裁判所に行って「相続を放棄します」と。そのかわり、お父様に家などの財産があったりすると、「そっちはもらうけど、マイナスの方だけは相続しません」ということは出来ませんから。 ですから、お父様ですから、急に500万も借りたわけじゃないだろうし、場合によったら長く借りている。例えば、高い金利のところだったりすれば、本当の意味で債務整理をすれば、本当はないかも分からない。場合によったら、高い金利を長く払っていたら、ゼロになるか、場合によったら過払い金もあるわけですから。 それから、年齢に関係なく払えないんだから、破産したいといえば、それも可能ですから。 いずれにしても、最後は、相続放棄をすれば負うことはありませんけど、できれば、お父様だってトラブルを起こして他界されたくないと思っているでしょうから、そういう面では、お父様の債務整理をどうか、弁護士さんと相談したらいいんじゃないかと思います。 |
増山 | 相続放棄をするとしたら、どういう手続きを踏めばいいですか? |
白川 | それは簡単です。裁判所に行って、「私の父が亡くなったんだけど、借金が多額にあるようなので、私は財産もいらないし、借金も負いたくないから、相続放棄します」と。「申述」といいます。裁判所に行って、裁判官の前で言えば、財産も引き継がないと同時に、借金も引き継がない。それを、相続放棄の手続きと言います。それは、家庭裁判所に行ってやらなければいけないんです ─ 亡くなってから三ヶ月以内に。 |
増山 | と、いうところが大切ですよね。今回は、借金のある場合の遺産相続についての話でしたが、遺産相続は何かと、トラブルになるパターンよく聞きますよね。 |
白川 | 何もないと、あまり問題ないんですけどね。多少あると、揉めるんです。 どういう場合かというと ─ 例えば、ここに家屋敷がある、と…1,000万くらいとしましょうか。それを、3人で相続することになったというような場合。ただし、自分たちは大学を出してもらえなかったけど、長男は、お父さんから高い学費を出してもらった、と。そういう場合は、自分たちは特別な利益がないから、なんとかならないのか、とか。あるいは、お父さんお母さんを長男夫婦だけが長い間面倒見てきた、と。それも、特に病気になってからは、介護も大変ですよね。長く介護をしてきたけど、そういうものは遺産分割に考慮されないのか、と。色々ありますよね。 |
増山 | そういったものは、考慮されるんですか? |
白川 | 自分の財産は、その人がどういう風に処分するか、基本的には自由主義社会ですから、その人の考え方を一番重視して決めるのが、今の法律に書いてある通り、こういう風に相続しますよ、ということですから。自由主義社会ですから、自分が築かれた財産等を「どういう風に相続して欲しいか」というのは、遺言があれば、それが一番重視されますから。 |
増山 | きちんと遺言を残しておくというのは、大切ですね。 |
白川 | 亡くなってからのことが書いてあるわけですから。きちんと書いてないと、それはまた揉めますから。遺言というのは、きちんとプロに書いておいてもらうのが、一番だと思います。 |
増山 | やはり、そういったことも、弁護士の方に相談をして。 |
白川 | それは、たいしてお金取られませんから。 |
増山 | きちんと手続きを踏んでおいたほうがいいということですね。今日は、江東区にお住まいの、51歳の男性の方からの質問にお答えいただきました。以上「ラジオ法律クリニック」でした。 |
(CM) | |
白川 | お送りしてきました「白川勝彦の前向きライフ」。そろそろお別れの時間となりました。 |
増山 | 今日は、今年1年を振り返りましたが、白川さん、いかがでしたか? |
白川 | 色んな事を感ずる年の瀬なんですが …… 私は、最近の年の瀬というのが物足らないんです。 |
増山 | 物足りないんですか? |
白川 | 昔は、盆暮れ払いというのがあったでしょ。ですから、一年間の金の、貰う方も払う方も暮れまで、という家で育ったもんですから。 昔は、年末から大みそかの当日まで、みんな必死だったんですよ。貰うものは貰わなくてはいけない。払うものは、それまでに払わなくてはいけない、と。ところが、役所なんかも含めて、25日をもってその年は終りだ、みたいな雰囲気になってきたんですね。 |
増山 | そうですね。 |
白川 | 予算編成なんかも、昔は30日くらいまで、ぎりぎりやったもんですが、大体、25日くらいで終わるんです。そういうことを含めて、最近は、だらんとした形で、年が終わり。昔は、三が日。商売人の方は、二日から初商売だといきが良かったけど、なんとなく、だらんと新年があける、と。僕は、あまりこういうの、好きじゃないんですね。昔の人間なのかもしれませんが… |
増山 | ギリギリまで一生懸命働いて、そして、新年明けても、すぐに頑張ろう、と。 |
白川 | 僕は、債務整理という仕事をやっている以上、今でも31日まで、来る来ないは別として、やっていますよ。それは、職業上の一つのけじめだと思っています。 |
増山 | 頭が下がります。来年も、良い年になるといいですね。来年はどんな年にしたいですか? |
白川 | 経済も政治も、結構厳しい一年だと思います、率直に言って。 僕の好きな言葉なんですが、「雲は龍に従う」。龍の絵を見ると、龍の周りには、雲があるでしょ? 龍は、雲がある空しか飛べないんじゃないかと思うけど、そうじゃないよ、と。雲があろうがなかろうが、天に向かって飛びあがるんだ、と。そうすると、その周りに雲が出てるだけ、と。絵を見ると、雲の中しか龍は空に昇れないんじゃないかと思うけど、それは違うよ、と。 来年こそ厳しいだけに、逆に、雲は龍に従うという気持ちで、頑張っていきたいなと思うし、みなさんも、そういう気持ちで頑張ってもらいたいな、と。自分が頑張れば、周りから色んな援軍が現れてくる、助けが現れてくる、と。増山さんも、そういう気持ちで頑張って下さい。 |
増山 | 頑張ります。 「白川勝彦の前向きライフ」、次回は、来年2月10日の放送になります。 次回の放送でも、白川さんに、番組をお聞きの皆さんからの質問や相談にお答えいただきますので、白川先生に聞きたいこと、プライベートな質問、また、債務整理や法律の相談など、どんな内容でも結構ですので、メールでお寄せ下さい。 |
白川 | 白川勝彦の前向きライフ、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。増山さん、ありがとうございました。ここまでのお相手は、白川勝彦と… |
増山 | ニッポン放送の、増山さやかでした。 |
増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー (文中敬称略) | TOP[t] | 第1回 | 第3回