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HOME > 白川文庫 [l] > カツヒコ・アラカルトTOP[f] > 白川勝彦の世の中つれづれ談義 > 2010年12月25日 (第26回)

ラジオつれづれ草〜番組スタッフから

白川さんお疲れ様でした。世の中の喜怒哀楽を庶民目線から代弁する、その番組趣旨を良く理解され、本質や真実という的を得た発言には毎週感心していました。
リスナーからは政界復帰を願う声も届きましたが、いまは多重債務者を救う仕事が白川さんに下された天命のように思います。事務所にはいつも多くの相談者が詰めかけていました。深刻な相談にも直接答え、将来に希望を与える仕事は苦労も多いと思いますが、それだけにやりがいのある仕事なのではないでしょうか。また、ご一緒出来ることを願っています。

 白川勝彦の世の中つれづれ談義   2010年12月25日 土曜日 (第26回)

世の中押し迫っているのに、政治はお休みでいいのか

話者名話の内容
世の中押し迫っているのに、政治はお休みでいいのか
小泉今年もあと一週間足らずとなりました。
白川小泉さん、「押し迫りました」という言葉を知っていますか。
小泉この時期、「押しつまりました」というのはよく聞きますが。
白川国会議員時代、私は宮沢喜一さんの派閥におりましたが、年末になると宮沢さんが、「白川君、今年も押し迫りましたな」と言っていたんです。そういう言い方の挨拶が普通だったんでしょうね。
小泉押しつまったというよりも、切迫感がありますね。
白川いまの世の中をみると、押しつまったとか押し迫ったとかいう雰囲気はありませんね。今日はクリスマスですが、私が子どもの頃は、街中にジングル・ベルが鳴り響いているなどということはありませんでしたね。それよりも「もういくつ寝るとお正月」という気分のほうが強かった。
話者名話の内容
  正月が待ち遠しかったですね。裏を返せば、それだけ正月前、つまり年末にやるべきことが多かったんです。江戸時代はすでに貨幣経済が成立していましたから、12月31日の大晦日までに一年の収支決算をしなければいけなかった。借金の掛取りや返済、それをすっきりさせて新しい年を迎える、それが当たり前でした。
先週も話しましたが、ふだんはどっしりと構えているお稽古ごとの先生も、年末は支払いのため弟子から稽古代を集めなくてはならないから走り回る。それで12月を師走と言うようになったんですね。井原西鶴が江戸の年末の金銭事情を書いた小説がありますね。
小泉どんな読み物なんですか?
白川

「たかがお金、されどお金」─ 深刻に考えすぎず、かといって、いい加減にしてはいけない

「世間胸算用」という作品がそうです。「せけんむねさんよう」という読み方が正確のようですが。これは、年末の貸し方、借り方のやり取りを描いた、たいへん面白い読み物です。借金取りをどうやって追い払うか、また借金をいかに返させるか、その必死の攻防が描かれているし、人生の機微とか生き方がにじみ出ています。
私の子ども時代も、それと似たようなことがありましたよ。「盆暮れ勘定」と言いましてね、盆と暮れの二回、収支決算をするという慣習が残っていましたね。でも、やはり、最大の決算日は大晦日だったんでしょうね。とにかく、大晦日さえ凌げば、翌年の盆くらいまでは借金も返さなくて済むという感じなんですね。
最近「武士の家計簿」という映画を見ました。上映が終わっても皆さん席を立とうとしない。若い人も多かったんですが、心を打たれたようでした。それだけお金の切実さはいまも変わらないのではないですか。この映画は、江戸時代の金沢藩の勘定方、通称「そろばん侍」の武士が、家族の協力のもとで、質素な生活に切り替えて多額の借金を返していくというもので、ストーリーは極めて地味ですが、いまの世の中に共通することがあるから、観る人の共感を呼んだのだと思いますね。

今もお金の苦しみは皆さんあるでしょう。小泉さんはどうですか。
小泉それはもう当然ありますよ。
白川資本主義社会ですから、お金についてはちゃんとしないといけませんね。だから「たかがお金、されどお金」というのは、なかなか味わいのある言葉ですよ。深刻に考えすぎず、かといって、いい加減にしてはいけないということですから。
リスナーに感謝!、またお会いしましょう!
小泉前半は江戸時代のお金をめぐる年末事情についてお話していただきました。
白川

大事な予算案を早々と決めて政治がお休みしていいのか

街を歩きますと、どこもイルミネーションだらけですね。不景気の裏返しかもしれませんが、何もあれほど華美に飾りつけることはないのでは。冬には冬の落ち着いた風情があると思いますよ。
それにしても小泉さん、年末というのに休みが多いと思いませんか。23日は天皇誕生日で休日、昨日はクリスマス・イブ、そして今日、明日は土日。ですから4連休という人も多かったのではないですか。来週の28日の火曜日は官庁が仕事納めですから、年内はもうほとんどお休みですね。正月を含めれば十日以上も休みがある。学生たちは就職先を探して毎日走り回っているのに、こんなに休みが多いのは日本だけで、これでいいのかと思いますね。
政府も今週にもう来年度予算の政府案を決めてしまった。私も国会議員当時は予算編成に関わっていましたが、高度経済成長の当時でさえ、国民生活に影響しそうな項目については、大晦日ぎりぎりまで予算の内容を詰めたことがよくありました。今は景気対策を含め懸案だらけ、そして国家財政が膨大な借金を抱えているのに、大事な予算案を早々と決めて政治がお休みしていいのかと思いますよ。あまりにも緊張感が足りませんね。
一年の節目ですから、もう少し、「押し迫ってまいりました」という切迫感が政治の世界にほしいですね。
小泉節目ということですが、7月から放送してまいりました「白川勝彦の世の中つれづれ談義」も、今回の放送をもちまして終了することになりました。
この半年、短い期間でしたが、私もお金のことについてどう向き合えばよいか、白川さんからいろいろと教えていただき、たいへん勉強になりました。リスナーの皆様も参考にされたことが多かったと思います。ありがとうございました。
白川そうであれば幸いです。弁護士として債務整理の仕事を中心にしてきましたが、貸金業法の改正からおよそ半年たって、このところ多重債務の相談が増えまして、番組を続ける時間的な余裕が取れなくなりましてね。また、余裕ができましたら再開したいと思います。
リスナーの皆さん、小泉さん、どうか良いお年をお迎え下さい。ありがとうございました。

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